三ツ峠山(みつとうげやま)
Date:1月31日
都道府県:山梨県
標高:1,785M
7.2㎞ / 603M
三ツ峠山はその名の通り三つの山「開運山」「御巣鷹山」「木無山」の総称であり、単独峰を指す言葉ではありません。大きく分類すると、足和田山、節刀ヶ岳、御正体山などが連なる富士山周辺の山ということになりますが、その人気度は別格と言ってもいいでしょう。
その歴史は古く、奈良時代から修験者の修行の場として使用されていた他、1830年頃、空胎上人(くうたいしょうにん)によって開山された信仰山岳です。
加えて、葛飾北斎の「富嶽三十六景」における『凱風快晴』は、一説によると、この山から描かれたものとする場合もあり、あまりに完全無比な富士の姿がこの山では見ることができます。
引用:葛飾北斎「富嶽三十六景」
また「三ツ峠」といえば、太宰治が井伏鱒二と共に登ったことでも知られていますが、太宰は「富嶽百景」の中で下記のように記しています。
“私達たちは、番茶をすすりながら、その富士を眺めて、笑つた。いい富士を見た。”
太宰は、登山道の麓にある「天下茶屋」からもまた、
“富士には、月見草がよく似合ふ”
という名文を残しています。
富士が一番美しい
僕は「三ツ峠登山口」及び「いこいの森」(西桂方面)の双方から登ったことがありますが、今回は三ツ峠登山口からのことを書きます。
まず登山口に駐車し、見えてくるのは雪深き真っ新な景色です。車が通ったタイヤ痕が踏み固められていますので、それを利用して車道を少し歩きます。そして三ツ峠山登山口へと至ります。
三ツ峠山登山口
そしてこの「三ツ峠山登山口」から登山がスタートします。12月・1月・2月は状況によって、登山道が凍結しているので、チェーンスパイク・アイゼンは必須です。
この日は降雪のおよそ一週間後の登山でしたので、融かされた雪がそのまま凍結し、所々滑りやすい状態になっていました。
徐々に標高をあげていくと、雪の量が増え、登山道は白くなっています。
危険箇所はない道ですが、この時点では樹林帯を進むので、眺望はありません。急登と緩やかな登りを繰り返し、やがて眼前に突如として飛び込んでくるのが眩しすぎる富士山です。
急に景色が開けますので、その喜びは格別です。多くの登山者が、リアルに感嘆の声をあげていました。
そして、今も営業を続ける数軒の茶屋が見え、背後には雄大な富士がずっしり佇んでいます。比較的平坦な場所ですが、山頂に到るには、ここから少しだけ登る必要があります。しっかりと鎖が用意されていますので、落ち着いて登れば誰でも上ることのできる道です。
やがて、歩き続けているうちに山頂へと至ります。山頂からは360°のパノラマが広がり、この日はスカイツリーや相模湾、東京都内のビル群、北アルプスまでもが見渡せました。
この特権は、空気が澄んでいる12月・1月・2月のみです。
山頂標識
雪化粧した奥秩父・金峰山連嶺
奥にきらきら光る相模湾
黒岳・釈迦ヶ岳を手前に、奥に南アルプス
僕は山梨や静岡に存在する、富士が見える全ての山に登ったわけではありません。しかし、この三ツ峠山から見る富士は、あまりに完璧な姿すぎて、見るのも眩しく感じる程です。
また、個人的には「多くの人が登山に行くべき」だとか「登ってみてほしい」などとは思いませんが、この山からの景色は、間違いなく人間の心に刻み付けられるものだと感じます。加えて、登山道に危険箇所もないので、登山の初心者にはうってつけの山であることは確かです。
参考:「山梨百名山グレーディング表」やまなし観光推進機構
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