山中にはまだ雪が残り、これから再び積もろうとしている中、里には春の気配が忍び寄ってきました。
まず確認したのは三角草(ミスミソウ)。
三角草(ミスミソウ)
Hepatica nobilis Schreber var. japonica Nakai
環境省RDB:ー
山梨県RDB:絶滅危惧lB類
このミスミソウはキンポウゲ科ミスミソウ属の多年草で、常緑の葉を持ちます。
三枚のやや鋭角に尖る葉を持つことから「三角(ミスミ)」の名を持つとされています。
山梨県には幾つかの自生地があり、中には保護地として指定されている場所もありますが、近年の環境遷移の影響を大きく受け、個体数は激減しています。かつては盗掘されてしまったこともあったようですが、ミスミソウにおいては山地が乾燥することにより、ミスミソウの株がある斜面が崩壊してしまっています。
保護柵などで単純に解決できるものでもなく、もはや風前の灯といってもいいでしょう。
続いて確認したのは、榧蘭(カヤラン)、蜘蛛蘭(クモラン)、瓔珞蘭(ヨウラクラン)などの着生植物です。
蜘蛛蘭(クモラン)
Taeniophyllum glandulosum
環境省RDB:ー
山梨県RDB:絶滅危惧lA類
こちらの着生系のランは、山梨県内における分布域が極めて狭く、絶滅危惧植物の中では最もランクの高いlA類(CR)やlB類(EN)に指定されています。
いずれも個体数はそれなりにありますが、わざわざ山梨県外から来県して盗掘していく者も確認したため、今後の生育が懸念されます。
その他、松葉蘭(マツバラン)や茶筅羊歯(チャセンシダ)などのシダ植物を確認しました。