笠取山(かさとりやま)
Date:10月21日
都道府県:山梨県
標高:1953M
10.1㎞ / 854M
笠取山は、山梨と埼玉の県境に位置する山で、多摩川の水源地として知られています。南斜面一帯は東京都水道局が管理しており、何よりも豊かな水が特徴的な山です。川のせせらぎをBGMに登ることができる山です。
日本三百名山の一つに選定されており、近くには甲武信ヶ岳、大菩薩嶺などの日本百名山が名を連ねています。アクセスが難しいことから、大菩薩嶺などに比すると登山者は少ないようですが、実際の景観は大変優れた名山です。僕が赴いたのは10月中盤でしたが、既に登山道は凍り、霜柱が幾つも立っていました。
美しき水流るる
この山において特筆すべき大きなポイントは、やはり「水」の豊かさです。書くことは憚られますが、この山から流れ出した川には、イワナが棲息し、道中は常に川と共に標高をあげていきます。僕が実際に歩き、この目でイワナの姿を確認しました。普段誰もが目にする「川」というものが、本当に小さな一滴から流れ出しているという当たり前のことを、実感する山です。
川の渡渉が十数か所ある
特徴的なのは「多摩川(東京)」「荒川(埼玉)」「富士川(山梨)」の三県に流れゆく源頭が存在し、その分水嶺(ぶんすいれい)があるということです。この分水嶺は、関東水源の始まりの地ですから、何だか浪漫を感じる山でした。また、そのことからこの笠取山周辺の土地は、東京都水道局が買い取って管理をしています。
分水嶺
加えて多摩川に流れゆく最初の一滴とされる「水干」(みずひ)が存在し、一度直下で伏流し、東京湾までなんと138㎞の長い旅をします。この水の流れは、数え切れぬ生き物の大切な資源となり、人間にとっても欠かせない重要なものです。
水干
そして、もう一つこの山の特徴とされるのが、俗に言う「心臓破りの坂」です。
心臓破りの坂
この山頂直下の上り坂は、かなりの急勾配ですが、落ち着いて歩けば特に問題なく登りきることができます。この直下の麓では、これを登りきるにはどのくらいの時間がかかり、どのくらいの疲労度になるのだろう────と考えていましたが、一歩ずつ、そして休み休み歩き続けることで、知らぬ間に山頂に辿り着きました。よく、登山を人生に例える人がいますが、あながちこれは間違っていないのかもしれません。
冬季の登山では滑落の恐れがあるため、必ずチェーンスパイク及びアイゼンを利用してください。
また、「山梨百名山」と書かれた標識があるポイントが「山頂」とされていますが、この山における本当の山頂は、その山頂標識より崖の中を少し進んだ先にあります。
本当の山頂標識
危険箇所もほとんどなく、登山者も多くないので、静かにゆっくりと楽しみたい方には、本当にお勧めできる山です。但し、距離・標高差共にしっかりとあるので、超初心者の方にはお勧めいたしません。
参考:「山梨百名山グレーディング表」やまなし観光推進機構
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