Bonsai & Plants

苔の世界

苔───コケ。コケの存在を知らない人はいないですが、一体コケとはなんぞや?ということ、そしてコケはどう活用し、どう育てるのか、について分かりやすく解説します。

 

①苔とは

②苔と盆栽

③苔の種類

④育て方の基本

 

①苔とは


苔(こけ)とは、陸上植物かつ非維管束植物の総称を指します。正式には「コケ植物門」(Bryophyta)をまとめて「コケ」と呼びます。世界中では約2万種ほどの種類が確認されており、大きな群としては「蘚類」「苔類(たいるい)」「ツノゴケ類」に分類されます。

上図のように日本の自然環境(公園や渓流、山など)には多くの苔が自生しており、ほとんど人がその存在は知っていても、苔について考えることはありません。

しかし一方で、最近では「苔テラリウム」なんていう言葉もあるくらい、コケの世界に没頭する方が増えてきています。また、盆栽の世界では苔は欠かせないものとなり、中には「苔盆栽」(苔だけで創る盆栽)もあります。

苔テラリウム(引用:Creema

苔盆栽(引用:石田精華園

 

 

②苔と盆栽


先述しましたように、盆栽に「苔」は欠かせません。育成していく植物の中で、苔を利用するのは盆栽のみで、観葉植物やサボテンなどに苔を利用することはありません。

その理由は「古い」ことに価値が宿る盆栽において、古木感を感じさせる苔が必要不可欠だからです。国歌「君が代」の一節にも、”苔のむすまで”という言葉が出てくるように、苔の存在は「古さ」を感じさせるものとなります。

織姫紅葉

唐楓

深山海棠

特に、盆栽では日本的な引き算の美学によって構築されているものですから、苔があるとないとでは、鑑賞上大きな違いが生まれます。

 

③苔の種類


実は、盆栽において使われる苔には幾つかの種類があり、場合によっては「ない方が良い」苔も存在します。

《良い苔○》

「良い苔」は盆栽の保水性を保つのに加え、その見た目を良くする効果を持っています。また植え替えたばかりの用土は、まだ固まっておらず流れやすいため、それを防ぐ効果もあります。オススメなのは、直立性のもので、葉が密に締まっているものが良いです。山ゴケ系のものや、ハイゴケ系のものも良いです。

ギンゴケ(引用:michikusa

また、松柏類(松や杉、檜など)には、地衣類の日ゴケ系が良く似合い、老木感を出すのに最適です。

ヒメジョウゴゴケ(引用:盆草遊楽

 

《悪い苔×》

反対に、水はけが悪く、保水性が悪いものや、見た目がよろしくないものは利用しません。ゼニゴケや藍藻の仲間は、見た目がよくない上に、バクテリアなどを繁殖させ、病害虫を誘因するきっかけにもなりますので積極的に取り除きます。

ゼニゴケ(引用:botanical japan

イシクラゲ(引用:Wikipedia

 

④育て方の基本


苔の育て方はもの凄く単純なものです。

まず重要なのは「水」です。やはり苔も植物ですから、いずれも水を必要とします。しかし意識的に灌水せずとも、盆栽に水やりをするのと同時に、苔にも灌水していることになりますから、特別の手入れは必要ありません。

次に重要なのは「日光」です。春・秋は直射日光下でも育ちますが、真夏の西日は避けて半日陰に置きます。

また「蒸れ」は苔の大敵で、むしろ悪い苔類を増加させるきっかけになってしまいます。その為、室内で風通しがない場所は不向きです。

 

盆栽に欠かせない苔。それぞれ違った楽しみ方で苔を育ててみるのも面白いです。

 

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