盆栽は、樹形を整えるために針金をかけて整枝していくのが一般的です。
ごく稀に「ハサミ」のみで樹形を作っていく方もおられますが、基本的には針金によって整枝します。本日は、その「針金掛け」の基本をお伝えしていきたいと思います。是非参考にしてみてください。
針金掛けの目的
針金掛けの適期
用意したいもの
針金掛けの方法
注意すべきこと
針金掛けの目的
針金かけの大きな目的は、やはり「樹形作り」と「整枝」です。針金で樹形を作っていくことにより、植木から盆栽へとしていくことができ、盆栽における針金は、やはり欠かせないものです。
加えて、ハサミのみで樹形を作っていく場合でも、鉢と植物を固定する際や、鉢と鉢底ネットを固定する際に、針金は必要となってきます。
また、下図のように、まだ根が発達していない樹木を鉢に固定する役割も果たします。
針金掛けの適期
年間を通して、針金掛けの適期は大きく「3~4月」「10~11月」となります。
これは成長期の盛期以外の期間であり、幹が大きく太らない時期となります。
また針金掛け後の管理がしっかり出来るのであれば、成長期ではない12月~3月というのもアリです。冬の寒い時期の落葉樹は、もちろん葉がない状態ですから、針金をかけやすいです。
針金をかけた後の管理で重要なのは、
・乾燥させないこと
・寒風に注意すること
となります。針金をかけた後というのは、少なからず樹木の勢い(樹勢)が落ちますので、通常の管理よりもやはり甘めに管理してください。
主な樹種の適期は以下となります。参考にしてみてください。
(松柏盆栽の針金かけ適期)
(葉物盆栽の針金かけ適期)
(実物盆栽の針金かけ適期)
(花物盆栽の針金かけ適期)
用意したいもの
【針金】
まず針金かけをするにあたって準備するものは「針金」です。盆栽に利用する針金には大きくわけて
・アルミ線
・銅線
の二種があり、其々の用途によって使い分けられます。其々の硬さは「アルミ線<銅線」で、アルミ線が柔らかく融通が効きやすいのに対し、銅線は一度形が決まったら戻りづらい傾向があります。また、そのことでアルミ線が初心者に向くのに対し、銅線は硬いが酸化することで樹に馴染みやすい傾向があります。
【ペンチ】
次に準備するのはペンチです。これがあることによって、巻きつけづらい部分に隙間なく針金を巻きつけることが可能です。
【針金切】
そして針金切は、針金をカットするのに使います。切れ端は尖っているので注意してください。
針金掛けの方法
【針金を鉢内に固定】
まずすべきは、上図のように、針金の起点を鉢内にしっかりと固定する作業です。ここが揺らいでしまうと、上部の針金が固定されずに、針金が効きません。
【45°・間隔をキープ】
そして次に幹に巻きつけをしますが、その際には「45°と間隔をキープ」を重視してください。幹と針金の間に隙間があると、針金が効かなくなりますので、しっかりと巻くようにします。
【美しく巻く】
重要なのは、針金をかけたままでも美しい状態を保持することです。そのまま飾っても「見れる」樹になるように、美しく巻くのが大切です。
【芽起こしを忘れない】
樹の先まで針金をかけ終えたら、最後に「芽起こし」という作業を行います。これは、日光に向かって自然に伸びていく樹木を人工的に作る作業です。
上図のように芽先を上に向けておきます。下げたままにしておくと、いずれ芽が上を向くためにエネルギーを使う必要があります。それを予め避けておくということです。
注意すべきこと
針金をかけた場合、最も注意すべきは「折れないようにすること」、そして「その後の管理」です。
とは言っても、折れてしまうことは往々にして起こりうることです。その場合は必ず切り口癒合剤(下図参照)などで折れた部分を保護するようにしてください。先述しましたが乾燥と寒風に晒してしまうと、樹勢が落ちてしまいますので、注意が必要です。
カットパスター(引用:有限会社ハナゲン)
また、剪定と針金かけを同時に行うことは構いませんし、一般的ですが、植え替えと針金かけを同時に行ってしまうと、やはり樹に大きな負担をかけることになります。慣れないうちは「針金かけ➡剪定」(剪定➡針金かけでも可)の順番で、日数をあけてから行うようにしてください。