Rock

Them Crooked Vultures「Them Crooked Vultures」

 

Them Crooked Vultures
Them Crooked Vultures
2009

 

貪欲なハゲワシとは如何に

Them Crooked Vultures=貪欲なハゲワシと名付けられたこのバンドが、ファーストアルバムをリリースしたのは2009年。ご存知NIRVANA、Foo Fightersからデイヴ・グロール、QOTSAからジョシュ・オム、そしてLed Zeppelinからジョン・ポール・ジョーンズを招聘した鉄壁のロックンロール・トリオでした。世代を超えた共演、ロックン”ロール”の旨味をたっぷり秘めたスーパー・グループですが、必ずしもロッカーが集まれば良いアルバムができるとは限りません。

しかし、本作「Them Crooked Vultures」は、あまりにも良く出来すぎているアルバムだと個人的には思っています。

クリス・コーネル、トム・モレロが参加したAudioslave、スラッシュが率いたVelvet Revolverをはじめ様々なバンドが結成されていますが、所謂”スパーバンド”において、不動の頂点に君臨していると思わざるをえません。

サブスクリプションが全盛となって以降、豪華なコラボレーションは数え切れぬほど繰り返されてきましたが、やはり膝と膝を突き合わせて、一つのアルバムを制作してくれたハゲワシ達には大感謝です。

 

70sロックのスピリットを継承

まず本作を語る上で通れないのは一にグルーヴ、二にグルーヴ、三を飛ばして四にも五にもグルーヴでした。理屈じゃないんだ、理論じゃないんだ、戦略じゃないんだ、ロックは。そう強く感じさせられるアルバムであり、滞ることのない鮮やかなヘヴィネスが紡ぐロックンロール・サウンドです。

全編を通して流れるのは、ジョシュの鋭く刻まれるリフです。そしてそのリフが下支えするメロデイは、些か弱くも感じられますが、この強烈なグルーヴの前に、もはやメロの良さは二の次となっています。まるでジャズのインプロヴィゼーションをロックで奏でるが如く、緩急極まるZeppelinを踏襲したジャムが続きます。僕が高校生ならこの”良さ”は恐らく理解出来なかったであろうと思われます。

リリースは2009年ですが、90年代以降HR/HMのシーンを搔っ攫っていった一つの流れ、オルタナティヴなニューメタルとは一線を画し、70年代HRに極めて忠実なサウンドでした。特にM5「Elephants」は本作のハイライトで、プログレ / サイケのトリップとは別のトリップに誘(いざな)ってくれます。リフと一体となって、転がってゆく”roll”の渦は、言葉に出来ない恍惚とクールさを秘めています。

ジョシュ、デイヴ、ジョン、共に、絶妙な均衡の元に奏でられるサウンド。一歩方向性を間違えば、悪い意味でとんでもないアルバムになってしまうことは容易に想像がつきます。是非、耐えうる限りの爆音で聴いていただきたいアルバムの一つです。

また、個人的にはデイヴ・グロールはFoo FightersなどでVoをやるよりも、やはりドラムスとして聴きたいと思っています。

ちなみにYouTubeでは、このThem Crooked Vulturesのライブが合法フルで観れます。YouTube内にあるライブの中でも上位に食い込む格好良さだと思っています。是非、時間のある方は見てみてください。「Them Crooked Vultures live(full show)


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