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アパレル専門学校のウラ

私たちのお店の名前は「OMOTE TO URA」です。ですからファッションを取り巻くきらきらしたことだけを書くのではなく当然「裏」の側面についても考えていきます。
当店の代表:ワダアサトはアパレル系専門学校を卒業しています。だからこそ、その経験も含めリアリティのある言葉で書いていこうと思います。


前提①「ファッションはアートじゃない」


まずOMOTE TO URAが考える大前提として、ファッションは商業活動の一つであって、アートとは違う、ということを記しておきます。

 


前提②「洋服は作品じゃない」


OMOTE TO URAの考える二つ目の前提は「洋服は作品ではない」ということです。OMOTE TO URAは洋服は「人が着て成立する商品」であると考えています。洋服は売れ、人が身にまとうことで、はじめて意味を持つのです。

 

たかが一セレクトショップが上記のようなことを言うべきではないかもしれませんが、これは紛れもない事実です。洋服を含めた「ファッション」には「見て楽しい・あるだけで満足」という消費者の気持ちがあることは否定しません。むしろあって当然のことです。

 

しかし企業などファッションを流通させる側の人々は「売上」を取ることが求められます。これは「楽しいファッション」そのものを提供する側の必要不可欠な使命のようなものではないでしょうか。

 

ですがアパレル専門学校は洋服を「作る」ことに焦点を置いた教育体制なので「売る」ためのプロセスを教えることはありません。つまり「製造」することに対する知識は教えますが、「ビジネス」としてファッションを捉えることは一切しません。

中には流通科・ビジネス科といった学科もあることにはありますが、その実態はビジネスを推進するのではなく、やはり「作る」ことに焦点を置いた教育になっています。学生がビジネスを知らないのは「粗利益」という言葉を知らないことから見て自明ですが、これは仕方のないことかもしれません。

 

もちろん「作る」ということは、洋服の構造を知るうえで重要ですし、そこに楽しみを見出すということも理解できます。しかしそれ”だけ”やっていたところで、社会にとって必要な存在になるか、と問われると首を横に振るしかありません。

 

また、基本的にその学校に長くいる教員はリアルなビジネスを知りません。もし外で働いていた経験があったとしても、それはずいぶん昔のプラットフォームです。
能動的に外の情報を収取している教員もいますが、そんな人たちは極わずかです。ルイ・ヴィトンの最新コレクションをチェックするのもいいかもしれませんが、もっと重要なのは私たちの生活に密着するリアルクローズとしてのファッションではないでしょうか。

 

このブログを読み、アパレル専門学校に行こうと悩んでいる方がもしいらっしゃったとしても、それは追い続けるべき夢だと思います。
しかしファッションはとっくに斜陽産業で、アパレル企業の就職も大卒のほうが遥かに優遇されるという事実から、目を背けてはいけません。多くのアパレル専門学校のように閉鎖された状況でもビジネスを推進している人もいますし、結局のところ、「自分次第」という言葉で片付けられることなのかもしれません。(もっと話を聞きたい学生の方→CONTACT

 

ファッションとはなにも業界のためのものではなく、普通に生活している人のためのものです。それらは当然「普通の人」が対象者なわけですから、政治や経済と密接に関わっていることを忘れないようにしたいものです。

 

また、学生側も教員の言うことばかり信じて疑わないと、社会に放り出されたときに、そのギャップに驚くことかと思います。積極的に外とのかかわりを持ち、リアルな社会を知るということも必要だとOMOTE TO URAは考えています。

 

業界人に褒められる洋服を作って、デザイナーになれるということは残念ながらありえません。しかし、ファッションは途轍もなく、憎いほどに面白いものである、というのも事実です。

 

アパレル専門学校に多くの人が通っていた時代と”今”では、ずいぶん差がありますし、10年前と比較しても、今は全く別の時代なのです。アパレル専門学校はそろそろ本気で「売る」ための教育をスタートしなければなりません。