山梨県の針葉樹林下に生育する、様々な夏のラン科植物を観に行ってきた。
まずはこちら、高嶺双葉蘭(タカネフタバラン)。
高嶺双葉蘭(タカネフタバラン)
Neottia puberula (Maxim.) Szlach.
タカネフタバランはフタバラン属の多年草(野性蘭)で、北海道~関東地方北部・中部地方に分布する。
近縁種にアオフタバラン、コフタバランなどがあるが、対の二枚の葉を地表よりやや浮かせていることから同定できる。
続いて大山鷺草(オオヤマサギソウ)。
大山鷺草(オオヤマサギソウ)
Platanthera sachalinensis F.Schmidt
こちらはラン科ツレサギソウ属の多年草で、山梨県レッドデータブック(RDB)では絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されている。鹿の食害の他、虫害や盗掘にも遭いやすい種で、加えて人為的な環境遷移によって、個体数は著しく減少していると考えられている。
亜高山帯の針葉樹林下や、やや湿り気のある半日陰の草地に生育している。彼らにとって土壌の乾燥は致命的であり、このことが個体数減少に拍車をかけていると思われる。
また、オオヤマサギソウの変種、オオバナオオヤマサギソウ“Platanthera sachalinensis var. hondoensis”も咲きはじめたと見え、楽しい発見になった。
このオオバナオオヤマサギソウはオオヤマサギソウと比較すると、距(きょ)が長いのが特徴となり、環境省RDBでは絶滅危惧ⅠA類(CR)、山梨県RDBでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されている。
続いて木曽千鳥(キソチドリ)。
木曽千鳥(キソチドリ)
Platanthera ophrydioides var. monophylla
こちらは山梨県下の亜高山帯樹林下には比較的多くみられるランであり、実際この日もかなりの個体数を確認することができた。葉は1~3枚ほどつき、最下の葉が最大になるのが特徴となる。
その他、実になったムヨウイチヤクソウや、フウラン、アリドオシランなどを観ることができた。
無葉一薬草(ムヨウイチヤクソウ)
Pyrola incarnata f. subaphylla
風蘭(フウラン)
Vanda falcata