2009年にアメリカはカルフォルニア南部で結成されたSaint Motel。未だ日本語版のWikipediaすら存在しないバンドだのだが、個人的に2019年からこのバンドがずっと気になっている。
今日はそんな彼ら、セイント・モーテルについて書いていきたい。
①Saint Motelがクールさの極み
②エレクトロニカは悪ではない
③Post Foster The Peopleとして
①Saint Motelがクールさの極み
Saint Motel(引用:https://nichemusic.info/saint-motel-cold-cold-man/)
Saint Motelは冒頭申し上げた通り、2009年にアメリカで結成されたロックバンド。インディーズから頭角をあらわしたバンドにはグループラブやスモールプールズなどがいる一方で、HRシーンはストラッツやグレタヴァンフリートなどがオールドハードロックに近しいサウンドを鳴らし続けている。
しかしそんな中でもこのセイント・モーテルは日本での知名度がそこまで高くない。というのもこれまで来日したことは、私の記憶ではないし、そもそも彼らのサウンドやジャンルがそこまで大衆的ではないからだ。
saintmotelevision:2nd
だが彼らが2016年に発表した上図アルバム「saintmotelevision」はその完成度の高さから、軒並み海外の音楽メディアは高評価をくだした。
そしてその音楽メディアが評価する通り、このアルバムはアメリカっぽい大まかで粗雑なアメリカン・ハードな感覚と、イギリスっぽい繊細さを持つUKロック・ポップの双方の側面を持ち合わせている。日本の音楽メディアの多くが彼らを「ポップバンド」と呼ぶが、その中身は実に繊細に練られたもので、常にメロディありきでその音が鳴らされている。
サウンドの中心となるのは、いわゆるアメリカン・ポップあるいはインディー・ポップなのだが、そこにはパール・ジャムやリバティーンズ以降のガレージロックや、インタラプターズがそのジャンルを率いるスカ・パンクなども同居している。(特に一作目はその傾向が強い)
②エレクトロニカは悪ではない
そしてこのバンドを語るうえで欠かせないのは、やはり「エレクトロニカ」の存在だろう。Bring Me The Horizonが昨年ローンチした「amo」もこれまでのアプローチとは打って変わって、大きくそちらへ寄ったアルバムだったし、今年リリースされたAsking Alexandriaの新作も、かなりそういうアプローチが強かった。
そして、エレクトロニカをハードロックやロックンロールへ融合し、それをハードコアで包んだようなバンドの新作というのは、必ず賛否両論に割れる。やはり世界的に骨太のオールドハードなサウンドは「売れない」ということの証左でもある。
しかしSaint Motelほどエレクトロニカを上手に自身のグルーヴに突っ込むバンドはいない。もちろん上記に挙げたようなバンドとは、そもそもの音楽の方向性というものが違うのだけれど、このバンドは実にその妙技が巧い。
Voyeur:1st
一作目のアルバム「Voyeur」ではピアノの旋律と、かなり太めのギターが主役となっているものの、そこまでエレクトロニカの香りというものは漂ってこない。はっきり言ってしまえば、一作目と二作目ではそのサウンドの方向性は大きく違う。
だが様々なジャンルの良いところだけを、自分たちのサウンドプロダクションに持ち込んでしまうという意味では、このSaint Motelは非常にクオリティが高いバンドと言える。
③Post Foster The Peopleとして
そしてもう一つ書いておくべきは、Saint Motelの存在がまさに、ポスト・Foster The Peopleであるということだ。2011のデビューアルバムが200万枚以上の売上を誇ったフォスター・ザ・ピープルではあるが、彼らSaint Motelは間違いなく彼らに追従するバンドになりうる。
TORCHES
ひょっとするとフォスター・ザ・ピープル的なジャンルによくまとめられるWalk The MoonやYoung the Giantなどを遥かに通り越した存在にすらなるかもしれない。それほどまでにSaint Motelは大きな魅力で溢れている。
FTPはその大きなヒット以降、コーチェラにも日本のサマソニにも出演を果たしている。Saint Motelも同じようになる日が必ず来るはずだ。是非、その日を見逃さないように、彼らSaint Motelを聴いてみてほしい。
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