Bonsai & Plants

【樹種別】モミジの育て方

【樹種別】ミニ盆栽の育て方

【紅葉:モミジ】
Japanese Maple
Acer palmatum

 


モミジはムロクジ科カエデ属の落葉高木。日本の秋を象徴するのがモミジで、知らない人はいないほどの存在感を持っています。

本来日本においては、紅葉(こうよう)する樹のことを、「モミジ」と総称し、植物学的には「モミジ」という植物は存在しません。園芸上の区別として、葉の切れ込みが鋭角で5~7程度に分裂するものを「モミジ」、浅く切れ込んでいるものを「カエデ」と呼称することが多いです。ミニ盆栽において利用されるのは大きく分けて、

・イロハモミジ系
・ヤマモミジ系

のニ種です。

・イロハモミジ系

特徴は、全体に丸みのある葉が多く、芽出しが赤いことです。そのことから「春モミジ」と呼ばれます。葉先は5~7に分裂し、葉そのものはヤマモミジよりも小さいことが多いです。代表的な品種は、芽出しがとにかく赤い出猩々(デショウジョウ)や紅千鳥(ベニチドリ)、血汐(チシオ)などです。

出猩々・紅千鳥・血汐・曙・清玄等)

・ヤマモミジ系

特徴は、葉先が7(5の場合も)~9に分裂し、イロハモミジよりも切れ込みがやや深いことです。小葉性の特徴を持つ舞姫(マイヒメ)や織姫(オリヒメ)の他、節目の詰まった琴姫(コトヒメ)などが代表的な品種です。

(舞姫・清姫・織姫・琴姫・獅子頭・枝垂等)

 


【基本の育て方】

モミジは基本的に「強い樹種」の一つとされ、初心者にも管理・培養しやすい素晴らしい樹種です。

数ある葉物類の中でも日光を好む傾向があります。その為、真夏以外は基本的に直射日光下で風通しが良い場所で管理します。特に「春」に日光はモミジの成長を促すうえで欠かせないものとなります。また、日光が不足することによって、徒長枝が伸びる傾向にあり、盆栽としての樹形が崩れやすくなってしまうので注意が必要です。「真夏」の西日にも注意が必要です。モミジのミニ盆栽は、生育段階であるかどうかにかかわらず、強い西日が当たってしまうと一気に葉が焼けてしまい(葉焼け)、紅葉を楽しむことができなくなります。

また節間のつまった盆栽を構成していく上で欠かせないのが春頃の「芽摘み」、そして梅雨時期の「葉刈り」となります。(下記参照)

 


【基本の水やり】

モミジが自生するのは山間部の平地、谷沿い、森林などの風通しが良い場所です。その為、水を好むタイプの樹とされます。

春・秋は一日に一回程度、冬はニ~三日に一回程度の水やりをします。真夏は朝晩の二回、乾きやすいようであれば三回に増やしても構いません。

 


【施肥】

モミジの魅力の一つは、節の詰まった古木感です。肥料が多くなると枝が徒長する傾向にあり、その魅力が半減してしまいます。その為、モミジの施肥は「控えめ」が基本です。

春肥として「油カス」や「有機肥料」を少し与えるくらいで構いません。新芽の出方や色が悪い場合は秋肥として、薄めた液肥を少し与えても良いです。また元肥としてマグァンプKなどを施肥するのも有効です。切り戻すにしても、重要な枝は一度節が伸びてしまうと、翌年展開してくる新芽に建て替えて枝づくりをしていく必要があります。

 


【芽摘み】(3月~4月)

何度も書きましたように、モミジは「節間」の詰まった樹が魅力的です。この節が伸びてしまうと、盆栽としては見られるものではなくなり、植木のような出で立ちになってしまいます。その為、春頃、新芽が展開してきた時点で必ず芽摘みを行います。特に豆盆栽・ミニ盆栽のサイズでは、この作業は欠かすことのできないものです。

モミジ新芽の構造

モミジの芽摘みの方法は幾つかありますが、最も容易なのが「芯摘み」です。この「芯摘み」をしておくことによって、モミジの新芽が間延びするのを防ぐことができ、盆栽としては節が詰まった樹にしていくことが出来ます。

芽摘み(芯摘み)

また、「芯」が展開し、本葉が展開する前に、托葉(たくよう)と芽鱗(がりん)をあわせた袴を取ること(=袴取りにより、新梢の力を弱くすることもできます。そのことによって、懐芽(ふところめ)に力を均等にいきわたらせ、締まった樹ができあがります。

袴取り

一方で、樹作りの段階では、新芽を全て伸ばして一度太らせるという方法もありますので、全ての樹で芽摘みをする必要はありません。(しかし豆盆栽サイズではあまり好ましいとは言えない)

 


【葉刈り・葉切り】(6月~7月)

葉刈り・葉切りとは、秋の紅葉を楽しむために、二番芽を吹かせて小枝を増やしていくことを目的に行います。春以降茂ってしまった葉をカットしてあげることにより、内部にも陽が当たりますので、樹の健康を保つためにも必要な作業です。

また一番芽(春に伸びた葉や枝)をそのままにしておくと、紅葉がまだらになってしまう場合もありますので、新しい葉を増やし綺麗な紅葉を楽しもう!という目的もあります。

下図のように全ての葉を刈り取ることを「全葉刈り」と呼びます。この作業をしておくことにより、中心の分かれ目より新芽が出てきます。ただし、これは樹勢が十分にある状態で行ってください。

全葉刈り

また全葉刈りが樹木そのものに負担をかけるのに対し、片葉刈りと呼ばれる方法も存在します。この片葉刈りは通称「葉透かし」とも呼ばれ、樹木全体の葉量を半分以下に減らすことができます。その上、葉も残っている状態ですので、光合成にも負担がなく、非常にやりやすい葉刈りの一種です。

片葉刈り

他には「葉切り」と呼ばれる方法もあり、この方法は特に豆~ミニ盆栽などの小さなサイズにかける方法です。

 


【針金かけ】

モミジの新梢は比較的柔らかく、針金をかけることができます。ケヤキなどと違い、より自由な樹形を創ることの出来る樹種ですから、初心者にも向く樹の一つです。

ただし、気を付けなければならないのは、針金の「食い込み」です。雑木は松柏類に比べて針金が食い込みやすい傾向にあり、中でもモミジは一年でグンと太る樹種ですので、外すのを忘れないようにしてください。

 


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