今回は趣向を変え、ビジネス寄りのブログとなる。
当然日本には数えきれないほどのアーティストが存在する。
消費者は常に「受け手」であるから、アーティストが各々、勝手にSNSを使用していると考えることのほうが多いが、各アーティストによってメディア、特にSNSやネットにおける「戦略」というものが存在する。
その「戦略」は一般の人が知っても仕方ないが、「仕事」を考えた時に、それは知っておいても損がないだろう。今回は薄く広くご紹介していく。
当然ではあるが、全てを調べきることはできないので、そこはご了承願いたい。
①YouTube型
(米津玄師、あいみょん、never young beach)
②SNS型
(X JAPAN、きゃりーぱみゅぱみゅ、GLAY、Radwimps)
③マスメディア型
(AKB48、EXILE、ジャニーズ)
④反マスメディア型
(ONE OK ROCK、BUMP OF CHIKIN)
⑤フェス先行型
(WANIMA、THE ORAL CIGARETTES、10-FEET、coldrain、My Hair is Bad)
⑥タイアップ型
(back number、Green、星野源、福山雅治)
⑦マキシマム ザ ホルモン型
(マキシマム ザ ホルモン)
⑧特殊型
(B’z、サザンオールスターズ、Mr.Children、ドリカム、松任谷由実、中島みゆき)
①YouTube型
(米津玄師、あいみょん、never young beach)
まず日本のアーティストでYouTube戦略によって大成功したケースは、米津玄師、あいみょんが挙げられる。
米津玄師の場合、ゲリラ的なプロモーションが功を奏した他に、YouTubeを活動の軸にすることで、若者世代に直接的に訴求し、周囲からの注目を一気に集めた。
既存のアーティストはCDシングル、アルバムを制作しライブを行うというものだったが、音楽の聴き方そのものがスマートフォンの登場とYouTubeの台頭によって変化したことで、若者への訴求が既存のプラットフォームでは難しくなった。
マスメディアとはこれまで、TV、新聞、ラジオなど多くの人が目にする媒体を指す言葉であったが、今やYouTubeもマスメディアの一つとして認識される時が近い。
これからメジャーシーンで活躍したいバンドやアーティストは、これまでのようにアルバムを制作し、良質な音楽を届けるのみならず、YouTubeに流れる映像や、マスメディアへの出方も考えなければいけない大変な時代になった。
また彼らは一つの楽曲に対し、それぞれの特設サイトを設けている。これが強みとなって、長期的なヒットへと向かった。
またnever young beachのYouTube戦略も極めて素晴らしいとしか言いようがない。
小松菜奈を使用した一連のMVはまさにYouTubeでしか出来得ないことで、スマートフォンで撮影したプライベート的フィルムの仕様にしている。
②SNS型
(X JAPAN、きゃりーぱみゅぱみゅ、GLAY、Radwimps)
これにはX JAPANのYoshikiが挙げられる。近年のX JAPANの活動の主体はバラエティとライブであり、CD製作は何年もの間行っていない。
これまでロックスターというもののイメージは「手が届かない」「私生活が謎」という印象があったが、彼がSNSをスタートしたことで、リスナーとアーティストの「距離が近い」構図が出来上がった。
またこれには当然、米津玄師やきゃりーぱみゅぱみゅなど若い世代に絶大なる人気を誇るアーティストが羅列している。
音楽的観点から言うと、きゃりーぱみゅぱみゅのCDシングルはまったく売れていないが、それでも「終わった」アーティスト認定されていないのは、SNS(特にTwitter)の力が大きい。
若い世代にとってCDは、もはやいらないものであり、その大きな理由が「配信」と「YouTube」である。YouTubeを開けばわざわざ曲を買わずとも無料で曲が聞ける時代ゆえに、CDの売上はぐんと落ち込んでいる。
ほとんどの若者世代に向けたアーティストはSNSとYouTube、HPの連携がしっかりなされていて、双方向からの導入がしやすい。
また各アーティストのSNSで最大級に重要なポイントは⑴本人投稿型か⑵事務所投稿型かである。
当然⑴本人投稿型のSNSのフォロワー数の伸びは強く、それは「プライベート的」事由の多少に関するからだと言える。
GLAYの場合、このようにGLAY OFFICIALよりもvo.TERUのフォロワー数のほうが格段に多い。フォロワーが多いということはそれだけ拡散力に優れるということだ。
GLAY OFFICIAL TWITTER
TERU OFFICIAL TWITTER
またRadwimps(主に野田洋次郎)も、自身のSNSが大きなメディアとなっている。詩的な表現や、個人の趣味的ツイートでさえ、ファンにとっては野田自身を知れる貴重なプラットフォームになっている。
③マスメディア型
(AKB48、EXILE、ジャニーズ)
これは間違いなくAKB48グループとEXILEグループ、ジャニーズグループが挙げられる。
特にジャニーズグループはこのマスメディア(TV)での存在感は抜群に強い。2018年後半にかけ、ジャニーズのネット戦略がスタートしたようだが、基本的に彼らを見られるのはTVとコンサートだけである。
だから俗に言うジャニオタと呼ばれる人々はTVにかじりつくし、コンサートにも足を運ぶ。それが強みとなっている。
④反マスメディア型
(ONE OK ROCK、BUMP OF CHIKIN)
この反マスメディア型の筆頭株は、ONE OK ROCKである。
彼らはTVなどをはじめとしたマスメディアに「出れない」のではなく、「出ない」という選択肢をとっている。つまり彼らの場合、初期にある程度の「固定客」を確保し、「出ない」という戦略をとることで、それが直接的な付加価値に繋がる。
しかし「出ない」だけではファンに忘れ去られる可能性だって無いとは言えない。そこを補うのがvo.TakaのSNSである。
メディアに出ないけれど、SNSでその生活や交友関係が分かる、というのはリスナー、ファンにとっては「嬉しい」。
また「ライブ」に重きを置くバンドであるから、ライブへの導線をしっかりと確保している。
上図にあるように、当然YouTubeと各SNS、HPの連携は取れている。また①のYouTube型とも言えるように、彼らもまたYouTubeを重要な位置づけとしており、彼らの主戦場はライブとYouTubeという、今までにない若者向け、新・ロックバンドとなり得た。
この傾向はBUMP OF CHIKINにも言えることだ。
⑤フェス先行型
(WANIMA、THE ORAL CIGARETTES、10-FEET、coldrain、My Hair is Bad)
このフェス先行型は、フェスという重要なメディアによって、新規客を獲得する人々のことだ。
ここにはWANIMAやTHE ORAL CIGARETTESが入る。更に10-FEETやcoldrain、My Hair is Badなども入るだろう。
フェスという文化が定着してから何年も経つが、彼らは積極的にフェスにでることで、自身のイメージをオーディエンスに定着させてきた。
つまり彼らは「音楽」に重きを置いたスタイル(ツアー主体)を、分かりやすく提言しているとも言える。
⑥タイアップ型
(back number、Green、星野源、福山雅治)
タイアップとは企業と企業が協力関係になり、双方の提携によって相乗効果を生み出す仕組みのことである。
このタイアップ型で「曲」そのものを浸透させていったアーティストはback number、Greenがいる。また上述済みだがRadwimps、米津玄師、などもタイアップによって大きく躍進したアーティストの一つでもある。
2010年以前はタイアップによって一定のヒットを生み出すことが可能だったが、近年はタイアップそのものだけでなく、各SNS、タイアップ先の作品(役者)、自社HPとの連携が不可欠になってきた。またYouTubeでの広告は、アナログ広告よりも遥かに高い優位性を持つ。
また星野源、福山雅治はマルチ的アーティストの顔も持つので、様々なメディアで見る機会が格段に多い。
言わばジャニーズ主演の主題歌がジャニーズであるのと同じように、彼らもまた俳優が務まり、アーティストも務まるタイプで、これが強みとなっている。
⑦マキシマム ザ ホルモン型
(マキシマム ザ ホルモン)
このアーティストはかなり特殊な戦略を持っている。フェスにて新規客をゲットした後、マキシマム ザ ホルモンの沼に落とし込むこのやり方は、いつ見ても素晴らしい。
当然YouTubeと各SNS、HPの連携はうまくとれているが、それに加え、新曲発売の際のプロモーションの仕掛け方がとんでもなくうまい。
YouTubeに一般人がアップする違法アップロードものは、この中の全アーティストの中で最も厳しく取り締まられている。そのことで、マキシマム ザ ホルモンの「正体」をリスナーは知ろうとする。
公式Twitterは個人名こそないものの、誰が言ったのかが分かる仕組みになっているし、Instagramの使い方も動画をふんだんに使用して、「素」が垣間見れるメディアとなっている。
またホルモンはマスに登場しないが、ホルモンファンのコミュニティの中で、積極的なリスナーとの会話のようなものが出来ていることで、一度ファンになった人のファン離れがあまり起きない。
⑧特殊型
(B’z、サザンオールスターズ、Mr.Children、ドリカム、松任谷由実、中島みゆき)
この6組のアーティストは「特殊型」とした。その理由としては、十分に人を集め、巻き込むだけの固定客が存在するからだ。
しかしこの6組のアーティストをそれぞれ分解すると、
B’z=「ライブ×HP型」
サザンオールスターズ=「マスメディア型」
Mr.Children=「タイアップ×YouTube型」
ドリカム=「ライブ×タイアップ型」
松任谷由実=「反マスメディア×タイアップ型」
中島みゆき=「謎×憑依型」
となる。
B’zはライブを長年の間「LIVE-GYM」と称し、そこを活動の主としている。マスメディアには登場せず、個人のSNSも持っていない彼らは、ライブにお客さんを集めることに全神経を注ぐ。
その反面、オフィシャルのSNSはうまくない。「一応ある」という程度。各SNSによって投稿している人や部署がバラバラだと推測する。そして特筆すべきはアーティストの人間性がまったく分からないということだ。
先述したように様々なバンドはSNSやマスメディアを駆使し、その人となりを伝えるが、彼らの人となりは一切分からない。それが一つの戦略になり得ている。
客層はSNSをやらない世代も多いので、HPへの導入が極めて多い。YahooやGoogleといった検索エンジンから、ダイレクトに「B’z」と検索する人が多く、男性アーティストでは米津玄師などを抑え2018のNO.1となった。(全体4位)
サザンオールスターズはB’z、Mr.Childrenと比較すると、マスへの登場機会が割と多い。つまり重要だと判断したマスメディアにしか登場しないということだ。またタイアップをうまく活用し、音楽そのものを40代以降の世代へ発信している。
またB’z、Mr.Childrenも同じではあるが、やはり固定客の多いバンドなので「ライブ」を活動の軸としている。
嫌な言い方ではあるが「ライブ」を活動の軸にできるバンドは強い。年間で百万人近い人が足を運べば、それだけの経済的効果が生まれる。
Mr.ChildrenはYouTubeを重要な活動の場と考え、過去のライブ映像なども公式がアップしている。そのことで若い世代への訴求は上記2バンドよりも大きいだろう。
またマス的な広告も最も多く、大きいバンドだからこそプロモーションに金をかけることができる強みがある。
当然タイアップ数も多く、フェスやライブにも重きを置いている。
この純音楽的な姿勢が、固定客を保持している一つの結果と言える。オフィシャルのSNSも存在しないが、その代わりに一足先に配信で曲を販売しはじめたアーティストでもある。
また女性3組は、メディア登場の機会が少ないが、特にドリカムと中島みゆきは、男性3組と同じように「ライブ」を主戦場としている。簡単な言い方をすると、固定客の多いアーティストにはそれ相応の強みがあるということだ。
この6組に共通するのは「人を呼べる」体制であるということだ。だからTVに出なくとも、この6組が出演すると、「おっ」となる。
このように各アーティストの戦略を薄く軽く書いてみたが、各アーティストによってメディア、SNSを中心とした「特色」があって、面白いのではないだろうか。
その「特色」が、アーティストのもつ「ミュージシャンパワー」となり、顧客(リスナー)は、それに翻弄させられ、また音楽を求める。
一般の方も、知らないうちにその戦略に引っかかっている。その戦略を知るのも面白いと思うのは、私だけではないはずだ。
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