Bonsai & Plants

秋は種まきの季節です

 

 

2022年の梅雨頃に「植物の増やし方」と題したコンテンツを3週に分けて配信しました。

参考:「植物の増やし方①挿し木
   「植物の増やし方②取り木
   「植物の増やし方③根伏せ

本日は、その続きとして「植物の増やし方④種まき」と題したコンテンツをお送りしたいと思います。是非参考にして、お家などで種を蒔いてみてください。

 

種まきに適した季節


まず、年間を通じて種まきに適した季節は「春」そして「秋」の二回となります。

これらはそれぞれ「春蒔き」「秋蒔き」と呼ばれるものですが、秋の場合は「採り蒔き」と呼ぶこともあります。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りとなります。

・春蒔き
4~5月頃の発芽に合わせて蒔きますが、採種(秋)から時間を経て蒔くため、やや発芽率が下がります。秋~次年度春まで、保存しなければなりませんが、一方で秋~春にかけて水やりを続ける必要がありません。

・秋蒔き
自然環境と同じサイクルで種を蒔くことになるため、発芽率はそれなりに高いとされます。しかしながら、春に発芽するまで水やりを続けなければならない点がデメリットです。

いずれにしても秋は「実りの秋」と呼ばれるように、様々な植物が実(=種)を付けます。ですから秋は種まきに最適な季節なのです。種から植物を育ててることを「実生(みしょう)」と呼び、形になるまでに時間がかかりますが種から育てた分その愛着は格別です。

ケヤキの種

小紫式部の種

 

休眠打破


野生、または野生を原種とする種子の多くは、完熟後、しばらく発芽せずに「休眠」と呼ばれる状態に入ります。これらの種子の中で、ある一定の期間、低温を経験しないと発芽しない種子を「低温要求性種子」と呼びます。

盆栽における多くの種子は、この低温要求性種子ですので、春に蒔くにせよ、秋に蒔くにせよ、いずれも寒さに当ててあげることが重要です。

・春蒔き
湿らせたティッシュなどで包み、春まで冷蔵庫で保存。

・秋蒔き
蒔いた後の管理場所を野外・屋外にして寒さに当てる。

このことによって、一定期間の低温を再現し、自然のサイクルに沿った播種を行うことが出来ます。

 

種まきのやり方


⑴採種と入手

種を蒔くにはまず種を入手する必要があります。盆栽として育てられる樹の中でも、街などで入手しやすいのは「ミズナラ・イチョウ・ケヤキ・モミジ・マツ」などになります。また、意外にもカシ・シイ類のドングリから盆栽を仕立てるのは、本当に楽しい作業です(後日書きます)。

楢類・樫類・椎類等どんぐり

イチョウ

今はネットショップなどでも様々な種を取り扱っていますので、それを利用するのも手です。OMOTE TO URA E-SHOPでも取り扱いがございますのでご確認くださいませ。尚、保安林や個人の敷地内、自然公園などにおける採種は違法となりますので、必ず事前に確認するようにしてください。

⑵浸水

そして種を入手した後に行う作業は「浸水」です。種を水に一晩つけることによって、種に十分吸水させることが大きな目的ですが、この際に浮いてしまった種は発芽能力が低いとされています。その選別も兼ねてこの浸水作業を行います。

⑶準備するもの

準備するものは単純で「土」「ケース」となります。土はホームセンターなどで販売されている最安価の赤玉土でも構いませんし、種まき用土を利用しても構いません。種まきの用土にこだわる必要はなく、あるもので構いません。種を蒔くケースは育苗箱やプランター、素焼き鉢でもいいですし、お肉やお魚が入っていたケースを良く洗って排水穴を開けて使用しても問題ありません。

⑷その後の管理

種をケースに蒔いたら、あとは乾燥しないように水やりを続けるだけです。

 

楽しい実生生活を


種から盆栽を構築していくのは、大変時間がかかります。これがデメリットです。しかしながら、種から育てたものにはやはり格別の愛着が生まれることは確かです。難しいこともありませんし、特別必要なものもありません。また、実生で育てていく植物と共に今後の五年、十年、しっかり管理さえすれば何十年もあなたと共に生き続けてくれます。是非チャレンジしてみてください。

 


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