ホームセンターや植物園、あるいはネットショップなどで購入した植物を増やしたいと思ったことはありませんか。そんな時に利用できる方法は主に4つあります。
それが「挿し木」「取り木」「根伏せ」「種まき」です。全て「新しい株」を必要とせずに、あるものから新しい株を増やすことが出来る方法です。前回は「植物の増やし方①挿し木」で挿し木の方法を具体的にお伝えしました。今回は「取り木」についての方法です。(※種蒔きは秋頃の配信です)
①取り木とは
「取り木」とは、幹の樹皮を剥がし、そこから根を出させて増やしたり、樹形をより良くするために行う方法です。主に後者「樹形をより良くする」為に行うもので、増やす目的としてはあまり活用しません。つまり、取り木をかけた”結果”増えたという状態になります。
こうして言葉で書いても中々分かりづらいと思いますので、下図を参照してください。
まず、この左上の樹のように幹が徒長して曲(きょく)がない部分があるとします。この部分は盆栽としての樹形が良くありません。その為、より盆栽としての価値を高めるために茎の途中から根を出させ、新たな樹形として蘇らせるということです。
この「取り木」はミニ盆栽を仕立てる上で、最も行う手法の一つで、商品にならない(樹形が良くない)ものを、一気に商品へと転換させることが出来る一手です。
⑴ 取り木中のヤマモミジ
既に発根してきている
⑵ポットを取り外す
⑶下部をカットして、腰の低い盆栽を仕立てる
②準備するもの
取り木をするに当たり、準備するものは主に4つで
・ビニールポット
・用土
・発根促進剤
・カッターなどの鋭利なもの
となります。
「挿し木」が切り取った枝から発根させるのに対し、
「取り木」は切り取らずに茎の途中から発根させる
というものです。
ポットは、日光が根に直接当たることを防ぐために使います。(普通のビニールでも可)
また、用土には基本の赤玉土だけでも構いませんが、乾燥から根を守るために「ミズゴケ」をミックスさせるとより良いです。
③環状剥皮とは
まずこの「取り木」をかけるに当たり、しなければならない作業は「環状剥皮(かんじょうはくひ)」です。環状剥皮とは、植物の枝や茎の皮を鋭利なカッターなどで切り取り、形成層を露出させ、そこから発根するのを促進させることを指します。剥ぐ部分の幅は幹径の約1.5倍とします。
④注意点と時期
取り木をかけるにあたり注意すべき点は
・乾燥させない
ことが何よりも重要です。また基本的には6か月ほどで発根してきますから、それ以前にポットを外さないように注意します。
また、適期は気温が上昇してくる4月以降で、再適期は挿し木と同じく5月~梅雨になります。冬は根も葉も休眠期に入りますので、発根は期待できません。加えて、取り木をかける元の樹の「樹勢」が落ちている時(=元気がない時)は、下手にいじってしまうと枯死する危険もあります。樹勢をあげたうえで行うのも重要です。