ホームセンターや植物園、あるいはネットショップなどで購入した植物を増やしたいと思ったことはありませんか。そんな時に利用できる方法は主に4つあります。
それが「挿し木」「取り木」「根伏せ」「種まき」です。全て「新しい株」を必要とせずに、あるものから新しい株を増やすことが出来る方法です。本日から三回に分けて、この「挿し木・取り木・根伏せ・種まき」(※種蒔きは秋頃の配信です)のノウハウをお伝えしていきたいと思います。是非、参考にしてみてください。
①挿し木とは
「挿し木」とは、植物の一部を切り取って発根を促し、新たな株(いわば植物のクローン)を作ることを指します。親株(元の植物)の”性”(=しょう)を受け継ぎますので、最も一般的に利用される増殖方法とされています。
この「挿し木」は日本で販売されているほとんどの植物に利用できるとされ、初心者にも失敗しにくい方法の一つです。
ただしコーデックス類におけるアデニウムやパキポディウムなどの「塊根部が強く膨らむもの」、パキラやガジュマルなどの「実生(※)に特徴があるもの」に対しては、挿し木が出来ないこともありませんが、根元の特徴的な膨らみは得ることができません。※実生=種から育てたもの
また、盆栽においても、枝垂紅葉などの発根がしづらい種や球根で増えていくタイプの植物にも挿し木をかけることはあまりありません。
挿し木で発根させたレンギョウ
一方でこの「挿し木」は、実生(種から育てたもの)の様々な樹種にかけていく「軸切り挿し芽」にも応用できる技術ですので、本格的にミニ・豆盆栽を仕立てる上では最重要な方法論となります。(軸切り挿し芽については後日コンテンツをアップします)
②準備するもの
挿し木をするに当たり、準備するものは主に三つで、
・挿し床
・挿し穂
・(発根促進剤)
となります。
「挿し床」に関しては、一般的に植物が育つ用土で構いません。お勧めの用土は「鹿沼土&赤玉土」(3:7)です。注意したいのは、鹿沼土は酸性を示す為、発根が確認でき次第ポット上げしてあげるということです。
その他、ホームセンターなどでは「挿し芽・種まき用用土」も販売されていますので、それを活用するのも一つの手です。
「発根促進剤」に関しては、なくても構いませんが、あったほうがより発根率を上昇させることができます。オススメは粉状になっている”ルートン”です。ホームセンターなどで300円前後で売っていますので、用意しても構いません。また”メデネール”という活力剤は、挿し木の他、様々なことに利用できるので一本持っておいても損はないと思います。
左:ルートン、右:メデネール
③具体的な挿し木方法
まず挿し木を行うにあたり、すべきことは「枝を切る」ということです。枝を切ったら数時間~終日水につけておき、ある程度切った枝に吸水させ、その後ルートンなどをつけて苗床に挿します。
またモミジのように”節(ふし)”のある植物は最低でも二節残してカットします。そのことによって発根を促します。
上図のように葉っぱをカットする目的は、まだ根のない植物の葉から蒸散することを防ぐためです。
また、挿し穂がより水分を吸収しやすいように、断面の面積を増やしてあげることにより、発根率があがっていきます。カットする場合は必ず鋭利なカッターやカミソリなどで綺麗に切るようにしてください。
更に土に指す場合も、挿し穂が動かないように固定してあげること、加えて水平挿しのようにしてあげることで、上に向かって伸びていく枝により自然な曲を付けることができます。注意したいのは、常に湿度を高く保持するということです。乾燥させてしまうと発根が進みません。
④注意点と時期
誰でも簡単に発根させ、植物を増やすことのできるこの「挿し木」ですが、注意すべきは
・乾燥させない
・挿し穂が動かないように
・発根するまでは半日陰で管理
ということです。直射日光に当ててしまうと、蒸散量がさらに増えてしまい、乾燥してしまう一因となります。また、基本的には半年ほどで発根してきますが、細根が出てくるまでは挿し穂が動かないように固定させておきます。
「挿し木」の適期は梅雨前~梅雨頃とされています。十分な気温と十分な湿度が自然に担保されるこの時期がオススメです。また4~5月頃でも可能です。一方で秋~冬にかけては、それ以降気温が下がり乾燥も強くなりますので、発根が促進されません。温室などを用意できる場合は別ですが、基本的には秋冬は行いません。
最も一般的かつ最も簡単に植物を増やせる方法「挿し木」。是非、参考にしてみてください。次回は「取り木篇」となり、6月16日(水)の更新です。
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