山梨県東部の山にヒナノキンチャクを見に行ってきました。
既に県西部で一度確認はしておりましたが、再び観察を行い、個体数と生育環境の調査を行いました。
雛の巾着(ヒナノキンチャク)
Polygala tatarinowii Regel.
環境省RDB:絶滅危惧lB類
山梨県RDB:絶滅危惧lA類
このヒナノキンチャクは、ヒメハギ科ヒメハギ属の一年草で、本州・四国・九州に分布します。そのカラーリング・フォルム、どれをとってもたいへん可愛らしい花です。花弁は三個つき、大きさは凡そ1~2ミリ、総状花序に下から上に向かって花を咲かせていきます。
基本的な性質としては、土壌中の栄養分に乏しい石灰岩地に生育するとされていますが、必ずしもその限りではありません。
私のボロい一眼レフではこの大きさがピントの合う限界で、少しはその小ささが皆さんに伝わると嬉しいです。
個体数はそれなりにありますが、分布域が広くない為、環境省RDBでは絶滅危惧ⅠB類、山梨県では絶滅危惧ⅠA類に指定されています。
さて、この山域ではこのヒナノキンチャク以外にも、様々な花が咲いており、フシグロセンノウやマメ科の植物各種、コフウロ、トリカブト、レイジンソウ、山ホトトギス、キバナアキギリ、キキョウ、そして秋の花の代表種マツムシソウなどを確認することができました。
節黒仙翁(フシグロセンノウ)
Lychnis miqueliana Rohrb.
中でも目を惹いたのは、キセワタです。
着せ綿(キセワタ)
Leonurus macranthus
環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類
山梨県RDB:絶滅危惧lB類
キセワタはシソ科メハジキ属の多年草で、属名の通り、メハジキに類似します。同定のポイントは「葉」で、メハジキが深裂するのに対し、本種の葉は裂けません。着せ綿の名の通り、花弁の基部には綿のような組織が見えています。北海道~九州に分布しますが、個体数はそこまで多くなく、環境省RDBでは絶滅危惧Ⅱ類となっています。山梨県では絶滅危惧ⅠB類で、意外にも非常に多くの都道府県で絶滅危惧種指定を受けています。
いずれにしても、この山域は希少植物が多いのですが、登山のアプリのログなどで、どこにどのような花が咲くのかが分かってしまい、今後の生育が危ぶまれる場所です。山系は明らかにせず、希少植物を登山者全員で守っていく必要があります。