Bonsai & Plants

盆栽は小さく育てるほうが難しい

樹高20㎝の盆栽と、樹高5㎝の盆栽。一般的に考えるのであれば「大きい方の値段が高い」のが当たり前です。観葉植物や塊根植物、皆さんが一般に目にする植物の殆どが「大きい方が高い」のです。

これは何も樹木に限った話ではなく、スーパーで販売される唐揚げも「量が多ければ高い」ですし、ジュースだって、或いはお家だってそうでしょう。一階建てのお家より、二階建て、三階建ての方が比例して高くなります。

しかしながら、盆栽においては必ずしも「背が高い方が良い」とは限りません。

樹高20㎝の盆栽と、樹高5㎝の盆栽でも、場合によっては5㎝の盆栽の方が価格が高くなります。本日はそのロジックをお伝えできればいいなと思います。

 

 

樹木のメカニズム

小さいクセになぜ高いのか

幼木から仕立てる

 

樹木のメカニズム


一般に、樹木をはじめとした植物は、大きくなっていくのが基本的な構造です。一年草であろうが、多年草であろうが、常緑樹であろうが、落葉樹であろうが、このことは変わりません。

こと日本においては、春頃に新芽を伸ばし、それが枝となり(新梢:しんしょう)、次の春にはその枝から更に新梢を伸ばしていきます。

春から秋にかけて、植物は大きく成長していきます。植物が一体なぜ大きくなっていくかの明白な理由は分かっていませんが、一説には、”他の樹木が伸びていくことによって、自身も成長しなければ光合成をできずに枯死してしまうから”とされています。

上図はモミジですが、図の通りの成長をします。

 

小さいクセになぜ高いのか


しかしながら、その樹木のメカニズムを人間の力によって半強制的に抑制し、小さく小さく、しかし太くしていくことによって「豆盆栽」や「ミニ盆栽」は成立します。

なぜなら、盆栽というのは鉢と植物が一体となって、大自然の景色をその空間に映し出すアートだからです。

その為、植物の思うがままに奔放に伸びきってしまった枝ぶりは美しくなく、毎シーズン毎シーズン、必ず手入れを行うのです。

下図は、今年の9月の秋冬立ち上がりでリリースし即完したトショウですが、樹高は5㎝に満たないながらも、既に10年を超える樹齢を重ねています。

杜松(トショウ)

 

幼木から仕立てる


上述の通り、植物は手入れをしなければ勝手に大きくなっていってしまいます。しかし、小さく育てていくことこそ手間がかかり、同時に愛おしくも感じるものです。この感覚は、盆栽を仕立ててみなければ分からないものです。

故に、場合によっては大きく伸びた盆栽よりも、小さな盆栽の方が遥かに高いことがあるのです。

仕立て中の櫨の木(ハゼノキ)

上図は実生一年制のハゼですが、こちらも紅葉後、今年の枝を剪定し(切り戻し剪定)、来春の芽吹きに備えていきます。

盆栽を小さく仕立てる方法は「直根切り」「切り戻し剪定」「芽摘み」など様々なテクニックを基に行っていきます。これらは機会があれば詳述していきたいと思います。

なお、2022年11月中旬より2022-2023 Fall / Winter【2nd Delivery】が立ち上がります。数は少ないですが、幾つかの盆栽とサボテン・コーデックスなどが展開されます。興味のある方はチェックしてみてください。

 


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