Bonsai & Plants

盆栽を育てることが与える7つの効果

OMOTE TO URAでは2022年の春夏シーズンより盆栽をはじめとした植物を取り扱うようになりました。僕の想いとしてはやはりこれまでそれらに興味のなかった方にご購入いただきたいと思っております。そこで本日は、盆栽を育てることが与える効果について書いていきたく思います。

僕自身の主観も混ざっておりますが、科学的なことについては可能な限り根拠を挙げながら書いて参りたいと思います。

 

 

①四季の移ろいに敏感になる

②土いじりが癒しになる

③生活のリズムが整う

④副交感神経を活発にする

⑤関心の範囲が広がる

⑥美的感覚を強化する

⑦一生の友人になってくれる

 

 

①四季の移ろいに敏感になる


日本の気候は温暖湿潤気候と呼ばれる温帯に属し、季節風(モンスーン)と中緯度の影響で四季がはっきりしています。四季、つまりは春夏秋冬ですが、盆栽のお手入れを始めると、この四季の移ろいがよりはっきりとして、その美しさにいちいち感動できるようになります。春になれば新芽が出て、蕾が綻び、冬になれば枯れていく──ほんの些細なできごとですが、一年を通して四季の豊かさを感じることができます。

実際、僕も盆栽を育成するようになってから、大嫌いだった梅雨が好きになりました。梅雨は植物を増やす(挿し木)のに最も適した季節だからです。

 

 

②土いじりが癒しになる


学術誌「Psychopharmacology」により発表された論文によると、土壌に生息する腐生性細菌マイコバクテリウム・ヴァッカエには抗炎症、免疫調節、ストレス耐性の性質を持つとされています。加えてこれらのバクテリアは、人の気分を司る化学物質セロトニンを分泌するニューロンを活性化させることが分かっています。

第二次世界大戦後の欧米ではガーデニングなどを通して、うつ病や認知症、統合失調症などのリハビリなどを行う「園芸療法:ガーデニングセラピー」なるものも存在し、その効果は感覚的な側面のみならず、実際の医療にも役立てられているほどです。また、軽い運動を伴う土いじりは、冠動脈内皮機能や心血管予後の改善にも有効であることが、鹿児島大学の研究により裏付けられています。

 

 

③生活のリズムが整う


言うまでもなく、盆栽を育てるうえで欠かせないのは「日光」「空気」「ミネラル」そして「水」です。これら4つが揃い、植物は光合成を行うことができます。(参考:植物に必要な4つのもの

ですから、盆栽を育てる人間も、彼らのリズムに合わせ日光に当ててあげたり、水をやったりする必要があります。このことによって、人間の生活にもメリハリとリズムが生まれ、たっぷり朝陽を浴びることができるようになります。特に、屋外管理を基本とする盆栽は、必然的に朝の光を浴びながらの灌水になるため、狂いがちな体内時計を正常に戻す働きもあるとされています。

 

 

④副交感神経を活発にする


森林や公園などの緑が多い場所は、心が穏やかになったり、清々しい気分になったりすることがあります。その理由の一つとして考えられているのは、植物そのものが発する物質「フィトンチッド」にあります。このフィトンチッドが人に与える効果として知られているのが、

・副交感神経を活性化させる
・コルチゾールの分泌量を減少させる

というものです。このことによって、ストレス性ホルモンを抑制し、リラックス効果を高めることができます。農林水産省もこのような情報を公表しており、これらの効果は実証されているといえます。

 

 

⑤関心の範囲が広がる


盆栽を始めると、自然に様々なことに興味を持てるようになります。例えば公園に植えられた樹木のこと、花が咲く理由、植物生理。例えば日本文化、侘び寂び、引き算の美学。例えばデザイン、色彩学。まるで網の目状に広がっていく興味の対象ですが、それらのどこかには宝石の原石が落ちていることだってあるかもしれません。

これらのことは、はっきり言ってしまえば「知ったところでメリットがない」ことです。しかしながら、こういった知的好奇心を育むことは、思わぬところで役に立ち、あるいは人生を少しだけ豊かにしてくれることがあります。

 

 

⑥美的感覚を強化する


来週のコンテンツで書く予定ですが、盆栽は日本の文化であるうえに、引き算の美学を基にして構成されるものです。ですからいらない枝を剪定し、腰を低く作っていきます。また、観葉植物よりも遥かに小さな鉢に入れ、余白を引き出し、美を求めていきます。

花が咲くものは、変なところに花がつかないように手入れと剪定を繰り返しますし、枝が間延びしないようにするために、春には必ず「芽摘み」(葉刈りや葉切りも)などの作業を行います。そうして樹形を形作っていくプロセスの中で、自然と美的な感覚を養う効果が生まれていきます。

 

 

⑦一生の友人になってくれる


樹齢800年超・春花園・小林邦夫(引用:bonsaiempire

子供の頃に植えた盆栽が、老齢になっても生き続ける。これには浪漫を感じます。人と一緒に年を取っていく植物は、なんだか魅力的です。初心者でも、10年、20年と樹を持ち込むのはそこまで難しいことではありません。専門的な知識を頭脳に叩き込み、きっちりとしたお世話をすれば100年、200年と生き続けるのが盆栽です。

中には広島に投下された原爆の悲劇を受けながらも、現代に残存する盆栽もあり、今、僕たちが育てているものもいつかは歴史の生き証人となりうるかもしれません。

 

いかがだったでしょうか。少しでも盆栽の魅力が伝わってくれたら幸いです。個人的には盆栽を始めるのは、やはり若い方がよいと思います。なぜなら、若ければ若いほど、一つの樹と過ごす月日が多くなるからです。20世紀の「盆栽はお爺さんの趣味」という古臭い考えは捨てて、今こそ若い人にやってみてほしいと願っています。

2022年9月中にOMOTE TO URAよりF/Wシーズンが立ち上がります。そこでは紅葉に向けた盆栽も取り扱いますのでお楽しみに。


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