【銀杏:イチョウ】
Ginkgo
Ginkgo biloba
イチョウ(引用:じゃらんnet)
イチョウの盆栽(引用:東京盆栽日記)
イチョウはイチョウ科イチョウ属の落葉高木。街ではよく見かける樹ですが、地史的にはペルム紀に出現し、現在まで残るいわゆる「生きた化石」の一種とされます。世界で最古の現生植物の一つで、裸子植物を代表する樹木です。
盆栽に利用されるのは、一般的なイチョウの他
・チチイチョウ
・枝垂れイチョウ
・舞世錦
などがあります。
また、種子から発芽させるのも大変用容易なことに加え、胚珠を持つ植物ですので根元が太りやすい傾向があるため、実生から仕立ててみるのも面白いです。
【基本の育て方】
イチョウは基本的に水と日光の双方を好む樹種です。ただし、真夏の西日に当たってしまうと、たちまち葉焼けを起こし、秋の黄葉前に葉が縮れて黒っぽくなってしまいます。その為、真夏は半日陰に移動させて管理する必要があります。
一方で、乾燥には比較的強い傾向がありますが、芽吹きの多くないイチョウは一度葉をくたびれさせてしまうと、折角の青々しさを失ってしまうことがあります。その為、他樹種と同じく乾燥には注意します。
【基本の水やり】
春・秋は一日に一回程度、冬はニ~三日に一回程度の水やりをします。真夏は朝晩の二回、乾きやすいようであれば三回に増やしても構いません。
【施肥】
真夏以外は油カスなどの固形肥料を与えます。実生から仕立てている途中の養成樹では、胚珠に養分がありますので、それを外さないように管理します。
【芽摘み・葉刈り】
イチョウはモミジやケヤキなどの樹とやや異なり、細かい芽摘みや葉刈りをあまり必要としません。新梢(新しい枝)や新しい葉の数がそこまで多くない(芽が多くない)ため、芽摘みは不要に等しいです。
しかしながら、何もしないと葉が大きくなり、枝もやはり徒長気味になってしまいます。その為、グンと強く伸びる枝を一本~二本落とすくらいの剪定は必要です。また、葉を半分切り、樹勢の調整をしながら、小さく持ち込むことも必要です。
剪定
イチョウは頂芽優勢ですので上図のように頂芽をカットし、樹形をキープします。上に伸びる力を抑えることで、太く小さく締まった盆栽にしていきます。
葉刈り
また、このように葉刈りを施すことで、懐芽(ふところめ)を増やし、小枝を徐々に作っていくことも必要です。大きな葉はカットし、蒸散量を減らしつつ、小葉にしていくことも求められます。
【実生のすゝめ】
イチョウは「銀杏」として街路樹や公園などによく落ちています。その銀杏はドングリなどと同じく「胚珠」と呼ばれるものです。この胚珠には植物が育っていくための養分が蓄えられており、胚珠を持つ植物は根元の部分が太りやすくできています。その為、盆栽としては比較的早めに樹形が完成しやすく(=太りやすい)、実生から育ててみるのも大変面白いです。
イチョウの種
秋に採種した銀杏から果実を取り除き、その際に土の中に埋めてしまいます。4~5月頃になれば自然に芽が出てきますので、それを盆栽として仕立てていきます。(体質によってかぶれることがありますので、ゴム手袋を用意してください)
実生させたイチョウは「直根」をカットし、樹勢を一旦止め、小さな鉢に入れてしまいます。(参考:奥深い根っこのはなし)