Bonsai & Plants

ミニ盆栽の狂おしい魅力

こんにちは。僕の住む山梨では、いよいよ春爛漫、様々な植物の芽が出始めました。そろそろ山菜の盛期となりますから、楽しみがまた一つ増えます。

さて、本日はこの春から取り扱いをスタートした、ミニ盆栽の魅力に迫っていきたいと思います。

 

端整な樹形

大きくするのは簡単だが

所持する人の一生

 

端整な樹形

まず、OMOTE TO URAが考えるミニ盆栽の魅力は、とにかく格好いいということです。樹齢を重ねた幹肌、大自然の厳しさと美しさを一つの鉢で楽しむ。この感覚が、とても面白いのです。鉢の中の土を掴むようにして立ち上がる根張りは、丘の上に佇む大木を想起させますし、世に二つとない独自の樹形を作り上げていくことは、何とも言えぬ感触に溢れています。

皐月(サツキ)
Rhododendron indicum

深山海棠(ミヤマカイドウ)
Malus toringo Sieb.

また「時間」という一定に進むしかない、あるいはどうにも変化させようがないものによって、そのものの価値があがっていくことは、ワインやウイスキーに似ています。今、種を蒔いて、その芽が出て、そしてあなたが60代になった時も、あなたと共にその木は生き続けています。このことを、僕はとてもロマンティックだなと思います。

時に飛び込み(他の種子が鉢に入ること)が起き、苔がむしていき、小さな鉢の中に一つの美が生まれていきます。

かつては「盆栽はリタイア後の老人の趣味」とされていましたし、今でもその感覚が残っている方も多いと思います。しかし、自分の手によって理想の形を作り上げていくことはDesign:デザインを製作するプロセスと似ており、とても楽しい作業です。

様々な鉢

 

 

大きくするのは簡単だが

盆栽と似て非なるものに観葉植物があります。しかし、観葉植物は西洋的な価値観に基づき、美の基準が存在します。

一方でこのミニ盆栽においては、大きくすることを「良し」とはしません。つまり、言い換えると「大きさを変えずに(小さくして)、幹を太くして、持ち込む」ということが「美しい」とされるのです。図にあらわすと以下です。

また、ミニ盆栽は「古い」ということにとにかく価値が宿ります。ですから、小さいながらも十年、二十年と時を経てきたかのような雰囲気を出すことが求められます。幹肌が艶々として美しいことは、盆栽において「美しい」ことではありません。

重複になりますが、ミニ盆栽の基本は「古く、太く、小さく持ち込む」ということです。

加えて、日本の美しい四季に合わせ、芽が出て、青々しい葉が茂り、紅葉し、葉が落ちます。やがて春になれば、再び芽が出てきます。このサイクルを小さな小さな一鉢で感じることができるというのも、ミニ盆栽の素晴らしい点です。

春の芽出し(唐楓:トウカエデ)
Acer buergerianum

 

所持する人の一生

そして、もう一つ盆栽が持つ良さがあります。それは「長寿」であるということです。世の中の銘木とされている盆栽には、樹齢数百年という樹が沢山存在し、初心者でも5年、10年と持ち込むことは十分可能です。その時間をその人が用意した鉢、水や肥料で生き続けるのです。

これを読んでくださるあなたが亡くなってからも、誰かの手に渡ればその盆栽は生き続けます。そのことは、僕にとってみれば格好いいし、面白いし、凄いなぁ、とシンプルに思うのです。盆栽は日本の伝統的な文化である一方で、気軽に楽しむことのできる面白い世界です。秋になり種を蒔く時、春になり新芽が出てきた時、そういった四季折々のサイクルの中で、しなやかに生きる”美”を楽しむものです。

アウトドアスポーツやその他の遊戯に比べ、比較的簡単に始めることが出来る趣味の一つ、是非スタートしてみてください。

今後はOMOTE TO URAで、様々な事態に対処するための具体的な育成・管理方法、また、時にその美しさにフォーカスしたコンテンツを配信して参ります。


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