Rock

2019年、夏前までの必聴アルバムNO.10

 

2019年もいよいよ梅雨が明け、本格的な夏がスタートする。今回は2019年に発売されたCDアルバムをOMOTE TO URAなりにピックアップして皆様にご紹介していきたい。

期間は2019年1月1日~7月31日までとする。また掲載するのは順不同。日本国内のアーティストから欧米圏のアーティストを含む。

 

①B’z
NEW LOVE

 

②The Black Keys
”Let’s Rock”

 

③Foals
Everything Not Saved Will Be Lost – Part 1

 

④Billie Eilish
WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?

 

⑤Weezer
Weezer(Black Album)

 

⑥The Chemical Brothers
No Geography

 

⑦サカナクション
834.194

 

⑧BRING ME THE HORIZON
Amo

 

⑨Vampire Weekend
Father of the Bride

 

⑩FEVER 333
TRENGTH IN NUMBER333RS

 

 

 

①B’z / NEW LOVE


6月29日発売。B’zとしては前作DINOSAURから約2年ぶりとなる待望の新作。これまでB’zのサウンドを支えてきたバックバンドを一新して臨んだ作品で、B’z流ハードロックの完成形とも言える。爽やかさと長年B’zの中核を担ってきたHR感の強いグルーヴが特徴で、奇妙すぎるほどに一粒一粒が際立っているのにまとまりがあるアルバム。B’zが生み出すこの様式美は唯一でありながら、彼らのバックグラウンドにある音楽を想像させる。久しぶりに「アルバム」つまり「盤」として聴きごたえのある作品。「時代とは逆行している」と言われているが、このアルバムにとって、そしてB’zというバンドにとって「時代」は関係ない。タフなロック、大傑作。

 

 

②The Black Keys / ”Let’s Rock”


6月28日発売。ブラックキーズとしては5年ぶりの作品で、ガレージロックを思わせるTHE・ブラックキーズ的作品。トラディショナルなHRの要素、ガレージロックの要素、ロカビリーの要素、そういったものを作品の中に散りばめながらも、その音は確実にブラックキーズそのもの。しかしながら円熟味のあるサウンドであるため、若い世代にはなかなか伝わりづらいロックの形でもあるように感じられ、評価は二分されそうだ。

 

 

③Foals / Everything Not Saved Will Be Lost – Part 1


3月8日発売。二部作となる第一作目。まず印象的なのはエレクトロニカ系の音とロックの融合だ。シンセサイザーや電子機器を多用したROCK×ELECTRONICサウンドは、フォールズの向かうべき一つのゴールが明確だった為か、良い方向に働いてくれた。今作はフォールズの初期サウンドのような、捻じれていてポップな印象を受ける。フォールズが元々魅せてきたダークさとポップさが丁度いい具合にハマった。前作でも魅せてきた異なる要素の併存という意味においては前作に軍配があがりそう。しかし聴いていて、こんなに楽しいバンドは稀有そのもの。

 

 

Billie Eilish / WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?


3月29日発売。彼女が今、若者のポップアイコンになっているという。しかしそれをまったく鑑みないとしても、このアルバムはまさに傑作のそれで、2019年という時代を象徴する作品である。好き嫌いを置いておいて、このアルバムを聴かねば2020年に生きられない。どこにでもありそうな「音」なのに、この「音」は確実に新しい。イヤホンやヘッドホンで聴くのが惜しいくらいで、まず衝撃的である。極端に少ない音数と、低音的に響くサブベースが耳を通して脳内を刺激してくる。そしてそこに重なる単調なようでいて、表情豊かな彼女の声。現代の若い人々にとって、自身たちの気持ちやセンチメンタリズムを嘘一つなく伝え、歌い上げてくれるのが彼女。絶対に聴いてほしい。

 

 

⑤Weezer / Weezer(Black Album)


3月1日発売。サマソニ出演が確定しているウィーザーの最新作。ジャケットからは想像できないほどのポップス寄りの作品となった。暗く陰鬱な、まるでサバスのような雰囲気を漂わせながらも、その内容はブラックミュージックに基づくソウル・ファンク寄りの楽曲郡がお出迎えしてくれる。キャリアは長く、それなりに大きなバンドとなった彼らの変化は予想以上に賛否両論を巻き起こしたが、私は超・肯定的立場でありたい。現代的なパワーポップ、オルタナティブロックの傑作。

 

 

⑥The Chemical Brothers / No Geography


4月12日発売。個人的に前作が消化不良だったため、大きく期待はしていなかったが、ケミカルの懐古的なブレイクビーツと、間違いなく新しい音を提供してくれた。ハネるビートの”ローさ”が今っぽくもあり、レイブサウンドのリバイバルとケミカルなりの原点回帰的作風。一曲目に配置されたEve of Destructionからワクワクさせられ、ロックのグルーヴの中に間違いのないケミカルサウンドが顔を出す。ベースを中心にした暴力的なサウンドは必聴。

 

 

サカナクション / 834.194


6月19日発売。前作からおよそ6年ぶりという期間を開けて発売された今作。アルバムは二枚組で、いずれもはっきりとしたコンセプトがあって製作に当たったのだろうと思わせる。懐古的AORと、昭和的な歌謡の中に根付くファンク色を意識したグルーヴで、山口一郎の歌う一曲ごとにストイックな美学を感じ取れる。だが洗練されたシティポップ的音像、都会的音像の中に、土着性やポップスとクラブライクな風を感じる。HR、HM、ジャズ、テクノ、様々なジャンルが好きな方がいるが、どのジャンルの方でも納得させられるだけの器用さと音作りをしているバンドであると再認識させられた。

 

 

⑧BRING ME THE HORIZON / Amo


1月25日発売。デスメタル・ハードコア・パンクの要素を持つバンドということを忘れさせる衝撃的なオープニングで幕を開ける本作。次曲では彼らの持ち味を存分に発揮した音へと変化。容赦なくかっこいい、という言葉が最も合致するアルバムで、商業的側面から俯瞰すると「変化を伴うバンド」ということを実感する。日本国内のバンド、海外のバンドでも”安易なエレクトロニカサウンド”を取り入れたバンドは数あれど、こういったスタイルは間違いなく新しい。言わば「色物」ではない確固たる信念と、それを昇華させるだけの技術を持ち合わせたバンド。

 

 

⑨Vampire Weekend / Father of the Bride


5月15日発売。ヴァンパイア・ウィークエンドとしてはなんと6年ぶりの新譜となる今作。細野晴臣の曲をサンプリングしたナンバー2021にはじまり、ジャケット内部の写真に至るまでのその遊び心が何より楽しい。このアルバムをはじめて聴いた際に強く感じたのは「音楽そのものとオーディエンス(リスナー)へのリスペクト」である。何やらリベラル的なものを強く押し出すわけではなく、そこには圧倒的な「FreedomではなくLiberty」としての”自由”が感じられる。フロントのエズラと日本との関係、過剰な何かを突き付けないエモーショナルさ、そんなものがたくさん詰まったアルバムだ。

 

 

⑩FEVER 333 / STRENGTH IN NUMBER333RS


1月18日発売。元レッドリヴのジェイソン・アーロン・バトラーを擁する驚異的なスリーピースバンドのデビューアルバム。ハードコア・メタル、スラッシュ、ヒップホップなどの要素を取り入れつつもエレクトロニカサウンドを吸収したスタイルは決して革新的ではない。しかし重たいギターに基づくヘヴィネスと、まとまりのあるアルバムはHR/HMファンならずとも必聴の一作。会心の一撃をくらったかのような、ロックを中心としたグルーヴは非常に楽しい。

 

いかがだったでしょうか。今回挙げさせてもらったアルバムはいずれもApple Musicで聴くことが可能だ(B’z / NEW LOVEを除いて)。是非8月をこれらのアルバムを聴いて過ごしてほしい。また弊社ではサマーソニック2019のレポートも掲載予定です。


この度はコンテンツをご覧いただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします。

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ワダアサト
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