Rock

Foals、ぶちあがるという表現が最も正しい【Summer Sonic ’19】

 

 

Foals


Foals(以下フォールズ)の新譜、Everything Not Saved Will Be Lost Part 1。二部作となるアルバムの第一作目となるが、このアルバムの内容がとにもかくにも良かった。というより良すぎた。

フォールズ初期サウンドを踏襲しながらも、エレクトロニカをふんだんに使用したサウンドによって、私は虜にされた。フロントのヤニス・フィリッパケスの力強くもスウィーティな声、ジャック・ビーヴァンのタイトなドラムス…。Summer Sonic(サマソニ)に出演すると知って、聴きにいかないわけがなかった。

TOKYO day1のヘッドライナーであるB’zのライブは、凄いことになると半ば分かっていた。そしてその前を務めたTHE 1975も凄いことになると半ば分かっていた。そして、なった。凄いことになった。B’z、THE 1975、THE STRUTSを目的に行ったのだ。しかしTOKYO day2の目的は、正直フォールズにあった。

そして幸か不幸か、その日フォールズの裏ではジャパニーズ・マーケットを占領するラッドウィンプスがショーを行っていた。だからこそ、フォールズに何としてでも行かなければならなかった。そして、彼らのショーが終わった今、その決断は完全に正解だったと考えている。

(引用:Summer Sonic Official Websiteより)

 

 

ぶちあがるという表現が最も正しい


ライブ=つまり”生もの”において、最も重要なのは「どれだけのオーディエンスを集めたか」ではない。勿論クリエイティブマンプロダクションは、商業的な側面を考慮し、マリンステージには「人が集まる」アクトを集めなければならないし、B’zや1975、RHCPのように満杯になった会場を観ると、本当に荘厳で美しい。

しかしそのことは、「音楽」という文脈で語られることはなく、徹頭徹尾最も重要なのは、そのライブの「質」である。つまり、「内容」、その場でどのようなライブをしたのか、ということである。

今回のフォールズにおいて、TOKYO day2のアクトの中では、確かに集客的に問題があった。人が少なかったのだ。だがそのことを差し置いても、間違いなく個人的にはday2のベスト・アクトであるし、フォールズを聴いたオーディンスはその想いを抱いているだろう。

 

フォールズのアクトは【On The Luna】からスタート。早速最新アルバムからの披露となったこの曲において、既にオーディエンスは熱狂の渦に飲み込まれ、観客が少ないことを良いことに、全ての人が盛り上がりを見せた。バンドとしての新しさ、もはやフォールズのキラーチューンを見せつけていく。

(引用:Foals Official Websiteより)

 

続く【Mountain At My Gates】では彼らのアルペジオに心奪われ、昇天しかけているオーディエンスも散見された。私自身もこのあたりからの記憶は曖昧で、ネットにもセットリストの情報が少ないため、曲順に違いがあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。

【Olympic Airways】ではクールさとアツさが混じり合い、日常と非日常の狭間を魅せる。ロックチューン的音像の中を縫うようにして、ヤニスの柔らかくも強い、その声帯から生み出される声に身体をまるごと持っていかれた。

【My Number】~【Exits】では彼らの本当の強みである驚異的な”間”=”ま”を感じないわけにはいかなかった。過去の素晴らしいミュージシャンでも、この”間”が特徴となるバンドは数多くあるが、彼らの”間”は本当に独特で、そのバンドが演奏をしても出ない”間”であった。

続く【In Degrees】では、フォールズの持ち味である強弱のメリハリを感じ、【Spanish Sahara】では”聴かせる”フォールズが出現。蒼く光るライトの中、ミニマルでタイトかつ深度の高いスケール感を演出。

最後の三連作【Inhaler】【What Went Down】【Two Steps, Twice】では、彼らのアクトをジャンプしながら聴くオーディエンスに圧巻の音圧で迫る。この時点で「鬼気迫るライブを観てしまった」と感じ、「音」そのものに圧倒された。拳を振り上げないオーディエンスは恐らく一人もいなく、ジャンプしないオーディエンスは恐らく一人もいなく、ぶちあがらないオーディエンスは恐らく、いや確実に一人もいなかった。

 

彼らフォールズを呼ぶとき、人々は「英国・オックスフォードを代表するバンド」あるいは「唯一無二のバンド」という言い方をされる。しかし、フォールズを聴いた者達にとっては「あの日あの場所で最高のライブをしてくれたバンド」でしかない。それ以上もそれ以下もあり得ない。

ヤニスは、来日するかも、と嬉しい言葉で示唆してくれた。超ロックなダンサンブル、楽しみに待っています。

 


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ワダアサト
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4 Comments

    1. foals代理人 様
      コメントありがとうございます。フォールズ、本当に素晴らしいショーを魅せてくれました。あの場にいなかった方は、次の機会に絶対聴いてほしいバンドですね。

  1. うう…フォールズに触れる記事なかったから嬉しい…めちゃくちゃ…

    1. フォールズ最高!様
      コメントありがとうございます。TOKYO二日目の中ではフォールズが最も良かったです。素晴らしいライブを魅せてくれました。

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