Rock

B’z 30年の重みと軌跡

B’zが最も輝く場所はどこか。

それは言うまでもなくステージだ。

ステージには、常に、彼ら二人の発する極めて生々しい「生」のエネルギーが満ち溢れている。

(出典:B’z Official Website


2018年9月21日、B’zはデビュー30年を迎えた。決しておごることなく、ロックバンドがロックのみによって未だにセールスをし続けること。未だに日本最高峰の水準でのLIVEを魅せてくれること。

それは今まで一度も途切れることなく、続けてきた一つの誇りでもある。

この30年間、一年たりとも休むことなく、スランプや内部の軋轢などが生じることもなく、音楽のみによって活動を続けてきた彼らは、憎いほどに格好良く、その裏側には私の想像を絶する、言葉通りのストイックな要素が複雑に絡み合っていた。

こんな明確なハードロックの姿を、日本のどこで見られるだろう。

私は幸いにもその30年目の記念すべきLIVE-GYMを、5万人の人々と共に祝うことが出来た。

 

 

演る場所


2018年9月21日、「B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI」と掲げられた巨大な動員数を誇るツアーは沖縄からスタートした。

彼らの演る場所におけるポリシーとは、「大きい会場でも、小さい会場でも、常に一流の演奏ができるようでありたい」というものだ。

松本のその言葉通り、毎年のように隠岐島、石垣島などの離島から、スタジアム、ドームクラスの会場を超満員のオーディエンスで埋め尽くす。

つまり、1,000人しか入らない会場でも演奏するし、75,000人も入る会場でも演奏する、ということだ。これは二人の意志と、強固な信頼関係によって構築されたスタッフとの連携が必須となる。

B’z SHOWCASE(出典:B’z Official Instagram

日産スタジアムなどの大きい会場では、サポートメンバーを含めた超一流の人たちが生み出す生の音を聴かせる「聴覚的アプローチ」と、特効などの爆発、花火などを伴う「視覚的アプローチ」によって、オーディエンスの五感は分散される。

彼らは「演奏側に振り切った、純な音楽空間のみのライブもしたい」との思いで、日本全国、海を越えてアメリカ、カナダ、台湾、香港などでもLIVE-GYMを開催してきた。

B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典:https://www.barks.jp/news/B’z LIVE-GYM Pleasure2013 Endress Summer(出典:www.barks.jp

 

 

 

脈々と受け継がれるハードロック


古くはLed Zeppelinにはじまり、Deep Purple、GUNS N’ ROSES、Aerosmith、AC/DCなど世界中の様々なバンドが生み出してきたハードロック。

そのハードロックを今の音で鳴らし続ける日本のバンドは彼ら以外いないと断言できる。ハードロックなどもはや死語のようなものではあるが、それを、ただそれだけを続けてきた覚悟が私は大好きだ。

そしてそのハードロックは「売れなければ意味がない」と言う松本の言葉も尊重することができる。音楽は芸術の域を出ないが、稲葉と松本が初対面の時に、松本が言ったのは「売れたい」という言葉だった。

タレントになるわけでもなく、ありがちなバラエティに出演するわけでもなく、メディアには最低限の顔出ししかしない彼らのスタイルが、本当にカッコいい。

昨年出演したRock in Japan Festival でも強く感じたが、あの世代のロックバンドが未だに若いバンドよりも別格の輝きを放っていることが驚きだった。彼らのCDが売れまくっていたころ、つまり全盛期のパワーを飲み込むほど”今”が圧倒的にカッコいい。

Rock in Japan Festival B’z(出典:rockinon.com

あの日、2017年8月5日のパフォーマンスは、あの場にいるすべての人を熱狂させる、強烈なショーだった。「王者が降臨した」と思った。B’zの前に演奏したのは激しいライブパフォーマンスで知られるマキシマム ザ ホルモンだったが、それ以上に強く、美しく、しなやかで、圧倒的ライブ感とグルーヴに痺れた。

そしてそんな彼らのスタイルはまさに「The only surviving hard rock band in Japan」なのである。

 

 

 

9月21日のLIVE-GYM


B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORIは18:00を8分ほど過ぎ、雨の降りしきる中スタートした。暗転と同時に徐々に大きくなるSEが、オーディエンスを沸かし始める。

一曲目にピックアップされていたのはultra soulだった。食傷気味であるはずなのに、圧倒的なパワーを持ったあの曲が、観る者聴く者を飛び跳ねさせる。

驚異的なのは10歳に満たない子供も、60歳を上回る人々も同じように手をあげ、声を出し、飛んでしまうアクション性にある。

会場に降る雨に、ライトが反射し、眩いばかりの美しさを放っていた。

B’z LIVE-GYM2018 HINOTORI(出典 : B’z Official Twitter

その後も怒涛の如く、ヒットチューンを今の彼らの”音”で演奏し続け、言葉通り渾然一体となった演奏側とそれを聴く側。

稲葉浩志の身体の奥底から生み出される声が、私たちの耳に届き「歌がうまい」というごく当たり前のことを思う。もちろん演奏面における技術的なものは国内に敵なしなのは明らかであるが、それ以上のこと、つまり感情の揺れ動き方や、日常から逸脱できるこの空間こそ「Pleasure」というツアーである。

「かっこいい」というのは人によって違う。しかし私の眼前10mまで迫る稲葉は、人のように見えなかった。スピリチュアルじみたものなど信じたくないが、確かにホンモノの持つ特有のオーラを感じた。そしてそれは華々しいだけではなかった。

松本孝弘の時に低音重厚で、非常にリフ的で、カミソリのようなエッジの効いた歪みのある音と、甘くとろけそうな、柔らかいタッチングによる音色は、彼が”tone”の人であることの存在証明だった。

B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典 : B’z Official Twitter

1995年発売、私と同い年の曲「LOVE PHANTOM」では、過去のツアーを彷彿とさせる、稲葉のダイブによって会場は割れんばかりの地響きのような歓声をあげた。

B’z LIVE-GYM2018 HINOTORI LOVE PHANTOM衣装(出典 : https://natalie.mu/music/gallery/news/300939/1014764)

演奏、演出、天候、コンディション。それらすべてが偶発的でありながら、それは確実に計算された美しいもののようだった。オーディエンスはお金を払いLIVE-GYMに行く。そのことによって彼らが背負う責務のようなものを、LIVE-GYMの完璧な美しいショーによって、納得させられた。

 

今、こうして文章を考えながら書いていても、なかなか細部まで思い出すことが出来ない。

あの3時間ほどの時間は、まるで夢のようで「私が何で悩み、何で立ち止まり、どのくらい疲弊しているのか」ということや、「仕事や家族、そのことを包む現実的な怒りや悲しみ」を完全に忘れ去ることが出来るからだろう。

「生きていると嫌なことのほうが多いと思います。必死にもがき生きている人たち、生活しまくっている人たちも、このPleasureツアーに来れば、一時的にでもそのことを忘れられる。僕らはそれを目指してやっていますから。今あることを一つずつクリアすることで、明日も生きようと思える」

と言う稲葉の言葉の通りの空間だった。

稲葉浩志(出典 : B’z Official Twitter

言葉は悪いが、彼らの存在は私たちが明日を手繰り寄せるための道具のようなものだ。そして彼らはロックバンドにありがちな「不和を経て今がある」や「病気やスランプにおける内部衝突」のようなものがない。彼ら自身の内面の歪みをこちらが感じたことは一度もなかった。

それに稲葉が歌詞の意味を説明することもなかった。「それは聴いてくださる方が自由に想像すればいい」という姿勢や「言いたいことはあまりないです」という姿勢も私にとっては憧憬の対象である。

B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典 : B’z Official Twitter


B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典 : https://natalie.mu/music/gallery/news/300939/1014761)

特筆すべきは、この日の記念すべき30年目のライブが単なる「アニバーサリーライブ」とはまったく違うもののようだったということだ。

今の彼らの姿勢に過去を回顧するような生ぬるいものはなく(演出やセットリストにはあったにせよ)その日の”生もの”の「音像」のみが、今現在を叩きつけてくるという感覚だった。

 

 

 

Brotherhood


1999年発売のオリジナルアルバム「Brotherhood」の中の一曲、Brotherhoodは発売から20年近くを経た今も、ファンの間で人気の高い名曲だ。

今回のツアーで演奏されたことによって、その曲の出来上がった背景や、No Computer Usedであることのアナログ感、今の時代に失われつつあるハードロックの魂を感じた。

バラードではしっとりと、しかし力強く歌い上げる稲葉と、クリーントーンを多用しつつ美しい音色を奏でるGibson Custom Tak Matsumoto Les Paul Standard Canary Yellow。

松本孝弘(出典 : B’z Official Twitter

多くのバンドがPCによって出力された音に頼りがちな現代。しかし彼らは未だに生の音で、汗をかき、走りながら歌い続ける。言うなれば戦いのための武器が、進化した海外製のモダンなものであるのに、彼らが使うのは槍や拳であるということだ。

そしてその槍や拳を未だに大事に抱え、常に研ぎ、磨き続けている。

 

稲葉浩志はLIVE-GYMのステージ上では敬語しか使わない。オーディエンスのことも「お客さん」「みなさん」と呼ぶ。CD売上日本一、その他にも数々の記録に裏打ちされた彼らが未だに謙虚であることが、私にとても大事なことを教えてくれる。そしてその売上をもってして「商業ロック」と揶揄し、誰もが知るこのモンスターバンドを真っ向から否定する者の声など、本当にどうでもよくなった。

彼らの言葉に嘘はない。「いつか笑える」「必ず幸せが来る」とも歌わない。LIVE-GYMのステージで彼らがしている行為は、人々が望む力量や技量でもって及第点の鐘を鳴らすことではない。

私が確信したのは、目の前にいる人々、遠くで何かを渇望している人に、自分の中で何かをただひたすらに燃やしながら、その何かを「届け」と願いながら、何を歌わんとするかということだった。

 

Brotherhoodを演奏する前のMCで松本はこう語った。

「30年間もやっていると、仲間が消え、引退や解散される方もいる。でも僕らには解散する理由がない。だってこんなに多くの方が、会いに来てくれる。本当に感謝しかありません。ありがとう。これは、奇跡でしかない」

実際、B’zの2018年のLIVE-GYMの総動員数は1,056,633人だった。

 

松本と稲葉はその日、爆発の後の白煙の中、抱き合い、5万人のオーディエンスに向けていつものように深く、長くお辞儀をし、オーディエンスに向き直り最後にこう言った。

「これからも長い付き合いになると思いますが、よろしくお願いします。」

B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典 : B’z Official Twitter

B’z LIVE-GYM Pleasure2018 HINOTORI(出典 : B’z Official Twitter

そして、その言葉通り30周年のPleasureツアーを終えた翌日、次のアルバムとツアーが発表された。

 

私はその日を待ち続け、恍惚の表情で彼らにまた会いにいく。

 

 

 

setlists are
1   ultra soul
2   BLOWIN’
3   ミエナイチカラ~INVISIBLE ONE~
4   TIME
5   love me, I love you
6   光芒
7   もう一度キスしたかった
8   恋心(KOI-GOKORO)
9   OH! GIRL!
10 イチブトゼンブ
11 ZERO(with 木村拓哉)
12 星に願いを(Tak solo)
13 ALONE
14 LOVE PHANTOM-HINOTORI
15 Real Thing Shakes
16 太陽のKomachi Angel
17 juice
18 BAD COMMUNICATION
19 Pleasure2018~人生の快楽~
ENC
20 Brotherhood
21 愛のバクダン
22 RUN

 

 

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