山梨の山野草・高山植物

初夏の八ヶ岳の高山植物

山梨県の平地の最高気温が35℃ほどを上回り、中々に寝苦しい夜が続く中、初夏の八ヶ岳に高山植物・山野草を観に行ってきた。資源保護の為、どの山へ登ったのか / 希少植物は掲載しないが、ご理解いただきたい。

 

まず出会うのは、カエデなどの広葉樹林帯の中に咲くアヤメやシモツケ、そしてニッコウキスゲなどである。

禅庭花(ゼンテイカ:Hemerocollis dumortieri C. Morren var.esculenta (Koidz.)Kitam.ex M.Matsuoka et M.Hotta)は別称をニッコウキスゲと呼び、正式名称の禅庭花で呼ばれることはほとんんどない。各地で別々に同定されたため、学名に混乱がみられる。まだ花期ではなかったが、7月中旬には満開となるだろう。

忍冬(スイカズラ:Linicera japonica Thunb.)は英名をJapanese Honeysuckleといい、在来種ではあるものの、アメリカなどでは野生化し、深刻な外来種として取り扱われることもある。

そしてこれらの花が咲くいわゆる野山から、本格的な登山道へ移行すると、広葉樹林が一転針葉樹林帯となる。

その林床にはマイヅルソウやミヤマカラマツなどが群生を成し、ジンヨウイチヤクソウも咲いていた。

腎葉一薬草(ジンヨウイチヤクソウ)
Pyrola renifolia Maxim.

そして針葉樹林帯からぐんぐんと高度を上げると、いよいよシャクナゲの森が現れ、登山道も不明慮になってくる。

白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)
Rhododendron brachycarpum

そして某山の山頂へと到る。山頂付近に咲いていたのは黒百合(クロユリ:Fritillaria camtschatcensis)。クロユリという名前だが、実際にはバイモ属の一種の高山植物で、高山帯の草地に生育する。

そしてこれらの亜高山帯へ入ると、様々な高山植物が現れてくる。

中でも目を惹くのが、ミツバオウレンやツマトリソウ、ゴゼンタチバナなどの大群落である。

三葉黄連(ミツバオウレン)
Coptis trifolia (L.)Salisb.

御前橘(ゴゼンタチバナ)
Cornus canadensis L.

竹縞蘭(タケシマラン)
Streptopus streptopoides subsp. japonicus

また、標高2300M付近の岩礫地には色鮮やかな初夏の高山植物が自生しており、こちらもまた見どころの一つとなっていた。

白山風露(ハクサンフウロ)
Geranium yesoense var. nipponicum

伊吹麝香草(イブキジャコウソウ)
Thymus quinquecostatus

弟切草(オトギリソウ)
Hypercum erectum

粘芒蘭(ネバリノギラン)
Aletris foliata(Maxim.)Bureau et Franch

また、水場には湿地帯の植物がお目見えし、実に植生変化に富んだ八ヶ岳登山となった。

高嶺姫岩鏡(タカネヒメイワカガミ)

深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)
Ranunculus acris var. nipponcus

中でも目を惹いたのは、薄暗い樹林にひっそりと咲く花期の銀蘭(ギンラン:Cephalanthera erecta)で、想像以上の株数を確認することができた。

またここには掲載していない様々な花、例えばキバナノコマノツメの大群落や、タカネバラ、ミネウスユキソウ、その他様々な花を見ることができ、充実した登山になった。

 


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