1950年代に様々なミュージシャン達によって、そして様々な音楽の影響を受け誕生したロックンロール。ロックンロールはやがて「ロック」と呼称を変え、2020年の今に至るまで変遷・細分化されている。
そんな「ロック」だが、実際のところ、そのジャンルはかなり幅広いもので、一体自分はどんな音楽が好きなのか?一体ニューウェイヴって?などという疑問が音楽を聴き始めると浮かんでくる。
今日はそんなロックのジャンルについて、とにかく広く浅く書いていきたい。これをきっかけにロックを知り、自分を知っていただけたら幸いです。(とても長い記事です)
本記事は50年代~60年代についてです。
日本に住んでいる方なら必ず誰もが「ロックンロール」を耳にしたことがあるはずだ。それはビートルズの来日かもしれないし、ミュージックステーションかもしれないし、街で流れていたかもしれない。とにかくそれほどまでに「ロックンロール」は大衆に根付いた文化にさえなった。
一方、「ロックンロール」の誕生には欠かせない二つの要素があった。それが「白人音楽」と「黒人音楽」(俗にブラック・ミュージックと呼ばれる)の存在だ。図にすると以下のようになる。
ブルース(Blues)
元来は孤独感や悲しみを表現する独唱歌として発展し、英語で悲しい気持ちを「BLUE」ということに由来しているとされる。黒人霊歌、労働歌から発展したもので、基本構成は12小節形式(ブルース形式)。
ゴスペル(Gospel)
別称を「福音音楽」とも言い、キリスト教プロテスタント系の宗教音楽のことを指す。黒人の感情の発露やシンコペーションが基となり、現在に通ずるロック的なコール&レスポンスは、このジャンルに大きな影響を受けている。
リズムアンドブルース(R&B)
1940年代後半に、ブルース、ゴスペル、ジャズが発展していく形で生まれたジャンル。1947年にはビルボードが正式名称として採用し、それ以前はアフリカ系アメリカ人の音楽を「レイス・ミュージック」と呼んでいた。(レイスは差別的意味をもつ)1960年になると、アメリカにおける公民権運動による黒人の地位向上により、ソウルなどとも呼ばれた。
ブラック・ミュージック(Black Music)
これらBlues、Gospel、R&Bなどにジャズ、ファンクなどの黒人音楽を加え総称として「ブラック・ミュージック」と呼ばれることもあり、一般的には「黒っぽい」などと表現される。強いビート感とグルーヴが特徴で、20世紀に登場する大衆音楽の源泉になった。
カントリー(Country)
1920年代にアメリカで発祥した労働者階級の白人音楽を指す。シンプルなハーモニーが特徴で、ウェスタン・ミュージックを包括しながら誕生した。(カントリー&ウェスタンとも呼ばれる)またこの「カントリー」という名前が顕すように、愛国心やナショナリズムとの結びつきが強い。日本で言うところの演歌的存在。
ブルーグラス(Bluegrass)
スコッチ・アイリッシュの伝承音楽を参考にして発展していったアコースティックを中心とした音楽。スコットランドやアイルランドの伝統音楽からの影響が強い。
ロックンロール(Rock and Roll、Rock’n’Roll)は1950年代半ばにあらわれた音楽のスタイルのこと。アメリカ英語の黒人スラングでは「性交」という意味もあり、50年代はじめには「バカ騒ぎ」「ダンス」などの意味もあったとされる。
一般的に定着したのはラジオDJのアラン・フリードからだとされ、60年代以降には「ロック」という呼び方が定着した。
ロカビリー(Rockabilly)はRock A Billyとも表記され、ブラック・ミュージック寄りのロックンロール(BLACK)と、ヒルビリー・カントリー(WHITE)が融合して1950年代に誕生・発展した。エルヴィス・プレスリーとビル・ヘイリーがそのムーブメントを牽引した筆頭で、サウンド的にはベースがジャズのリズムを刻み、ビートの主導権を握った。
一方ロックンロールはギターとドラムがそのリズムを引っ張っていることから、このロカビリーはより白人音楽の影響下にあるとされる。
ブルースロック(Blues Rock)のブルースは元々ブラック・ミュージックであったが、それらを白人がロックのフィーリングで演奏しはじめたことに由来。原点は「ブルース」にカテゴライズされるマディ・ウォーターズ、B.B.キング、エルモア・ジェームスなどにある。元来のブルースをよりキャッチーに仕上げ、ライブでは爆音での演奏がなされた。そしてその流れが後発のハードロックへと継承されていく。
ストーンズやアニマルズがブルースロックに傾倒していくのは、アレクシス・コーナーによるブルース・インコーポレイテッドの影響が強い。
また後にそれぞれのギタリストが大きく躍進していくヤードバーズの存在も大きい。
ブリティッシュロック(British Rock)は1960年代のビートバンドの総称で、アメリカのロックンロールがイギリスへと入っていく中で独自に発展していった。しかしこの呼称はあくまでも「邦ロック」のようなカテゴライズに過ぎない一方で、ロックの歴史が積み重なるにつれ、イギリス独自のロックンロール・サウンドが確立・浮上してきた。
イギリスのロックンロールはアメリカのそれに比べると、クラシック・ミュージックからの影響がより色濃く、当時のカルチュラルなものからの影響も多かったとされる。
1950年代後半、イギリス国内ではアメリカから入ってきたロックンロールを演奏する若者が多かった。特にリバプール出身のバンドはマージ―ビートと称され、勢いが強かった。そしてその代表的バンドがビートルズである。
ブリティッシュロックとUKロック
基本的には国の名前ではあるが、主に日本では1970年以前のバンドを一括りに「ブリティッシュ」、それ以降の70年後半以降のバンドを「UK」と呼ぶことが多い。下図はあくまでイメージ。
フォークロック(Folk Rock)はフォーク・ミュージックとロックンロールを融合させたジャンル。フォークは元来、人間や社会というものを抒情的かつ詩的に描写してきた側面を持つが、それらを大衆へと伝達するためにロックの手段を用いたとされる。
1965年、ボブ・ディランがニューポートフォーク・フェスティバルでエレキギターを使用した際、大きなブーイングが起こったのはあまりにも有名なエピソード。
またブリティッシュ・インヴェイジョンはフォークロックの直接的な要因になった。
サイケデリックロック(Psychedelic Rock)は1960年代後半に発生したロックジャンルの一つ。元々「サイケデリック」は66年頃、アメリカ西海岸におけるヒッピーを中心として広まり、67年にブームを迎えたムーブメントの一つ。
LSDなどのドラッグによる幻覚作用をロックとして再現したものの総称で、最初にレコードとして登場したのはザ・バーズの「Eight Miles High」とされる。
70年代後期に登場するパンクと同じように短期間で収束したムーヴメントではあるが、後進へ与えた影響はかなり大きく、現代アート(特にアンディ・ウォーホルなどのアメリカン・ポップ・アート)との親和性も高かった。その結果としてロックのみならずファッションや文学へも多大な影響を及ぼした。
またビートルズの「Revolver」の存在は大きく、同時にザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの「Axis: Bold As Love」などのアルバムにも通底する。
Revolver / The Beatles
Axis: Bold As Love / The Jimi Hendrix Experience
ファンクは元来ブラック・ミュージックのジャンルの一つで、土俗的な「体臭」という意味もあった。その起源はやはりジェームズ・ブラウンで、サウンド的特徴はリズムとフレーズ(カッティング)の反復が主だったもので、リズムギターとホーンセクションが前面に出ている。
上記意味において、ハードロックやプログレ、サイケとは真逆の音楽とも言える。
また、ジャズと相互的に影響を与えあい、特にマイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックは積極的にファンクやエレクトロニカを取り入れていく。(ジャズ+エレクトロニカは70年代のジャズ・ロックへと繋がる)
ストーンズやデヴィッド・ボウイ(70年代VER.にて後述)、初期のレッド・ホット・チリ・ペッパーズなどもファンクを積極的に取り入れた。
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