【欅:ケヤキ】
Japanese Zelkova
Zelkova serrata
ケヤキ(引用:uekipedia)
ケヤキの盆栽(引用:e-bonsai)
ケヤキはニレ科ケヤキ属の落葉高木。自然の公園などでは、大地に根を張った堂々とした立ち姿が印象的ですが、盆栽におけるケヤキも、この自然の姿を投影することが重要です。
日本では誰もが知る樹ですが、年間を通してやる作業はかなり多い方です。故に「大変だ」という方もおられますが、その作業が楽しいと思える方には大変オススメの樹種です。盆栽において利用されるのは、
・ケヤキ
・アキニレ
・ハルニレ
などですが、「アキニレ・ハルニレ」に関してはニレ属に属する植物ですので、本来は「ケヤキ」ではありません。(※年間を通して「ケヤキ」と同じ管理・作業で構いません)
また、ケヤキは芽吹きも旺盛ですので、作っていく楽しみにあふれている樹でもあり、長い時間をかけて一緒に育っていく感覚を楽しむことのできる稀有な樹木です。
【基本の育て方】
ケヤキはモミジやブナなどの他の雑木と比較すると、葉焼けに強い傾向にあり、管理はしやすい方です。また、水も日光も好む傾向にあり、更には寒さにも強い樹種ですので、初心者向けの樹とされます。風通しの良い場所で管理するのが基本で、湿度の高い環境では蒸れが生じます。
一方で、樹勢が旺盛で、新芽の伸びも強いため、少し目を離すと一気に樹形が崩れてしまう傾向にあり、手入れの回数は多いです。
【基本の水やり】
ケヤキも他の雑木類と同様、水を好みます。その為、
春秋:一日に一回
真夏:一日に二~三回
冬:二日に一回
を基本とした水やりを行います。春、新芽が展開して以降は水切れに注意し管理します。
【施肥】
本来ケヤキはあまり肥料を必要としない樹です。しかし、盆栽におけるケヤキでは、樹形を維持するために芽摘み・葉刈り等を行いますので、十分に培養し、積極的に施肥することが求められます。ただし、完成樹においては必ずしもその限りではありません。
まず、芽摘みを連続的に行う4月~9月の期間は一か月に一回ほど、固形肥料を与えてください。真夏は一旦ストップし、薄めた液肥を与えます。植え付け時にマグァンプKを元肥として施肥するのも効果的です。
一方でリン酸が多い肥料では、ケヤキの繊細な枝ぶりがゴツゴツすることがありますので、都度都度芽摘みや芽かきを行います。
【芽摘み】(4月~9月)
ケヤキの芽摘みは、必ず行う必要のある作業です。また、その回数も極めて多めで、全ての樹種の中でも割と忙しい樹が「ケヤキ」です。その理由としては、新芽の勢い・数共に強く、頂芽がぐんと伸びる傾向があるためです。
ケヤキの芽摘みは「伸びたら摘む」のを基本とし、更には「ニ~三葉残してカット」が基本となります。
芽摘み
上図が基本的なケヤキの芽摘みで、頂芽を含めた新梢を摘むことで、二番芽を吹かせ、枝数を充実させていくことを目的に行います。この作業を新芽が出る4月から、葉が落ちる9月頃まで毎日のように繰り返します。
【葉切り】(6月~9月)
また芽摘みを行っても、狙った通りに二番芽が出てこない場合があります。その場合は葉切りと呼ばれる作業を行っていきます。
葉切り
この作業でもニ~三葉残して、頂芽を中心に葉をカットしていきますが、頂芽が強く伸びていく(頂芽優勢)のを抑制する効果があります。
これらの芽摘み・葉刈りは基本的に春~秋にかけてその都度行っていくもので、この作業を放置してしまうと、ぐんぐんと新芽が伸びて行ってしまい、盆栽として見られるものではなくなってしまうので注意が必要です。また、これらの作業を行いますので、施肥は積極的に行います。
【葉刈り】(黄葉後11月~)
成長期の葉切り(6月~9月)は、二番芽を出させることがその大きな目的ですが、黄葉後の葉刈りの目的は、主に冬支度を行うための準備として行います。
この作業では、黄葉した葉を全て手やピンセットなどで刈り取ってしまい、冬芽に力を蓄えすぎないようにします。