「世界一仲の悪い兄弟」と言えば、音楽好きの誰もが思い浮かべる、そんなバンドがいる。oasisだ。そのフロントにはLiam Gallagher(リアム・ギャラガー)とNoel Gallagher(ノエル・ギャラガー)がいる。
彼らは日本においても絶大な人気を誇り、もはやロックンロールの王道的バンドにまで上り詰めた。彼らの楽曲”Don’t Look Back In Anger”は、イギリス版国家とまで称され、ライブやフェスでは大合唱の嵐。
しかし───────。
一体なぜ人々はoasisを世界最高の「ロックバンド」と呼び、UK国民的ロックバンドと呼ぶのか。そのあれこれをOMOTE TO URAなりに検証していきたい。
①oasisとは
②ロックバンドたるもの
③これだけは聴いてほしい
①oasisとは
oasis(以下オアシス)とは、1991年に結成されたロックバンドだ。イギリスでビートルズが誕生して以来、最もカリスマ性を帯び、そして売れたアーティストでもある。
PHOTO:GETTY
マンチェスターの労働階級出身のバンドで、そのフロントマンは前述したようにノエル(真ん中)、リアム・ギャラガー(右から二番目)兄弟が務めていた。務めて”いた”というのも、彼らは2009年に活動を停止し、ノエルとリアム、それぞれがまったく別のバンド、或いはソロで活動を進めている。UKを発祥としたブリット・ポップ・ムーヴメントを率いたバンドにはオアシスの他にブラーがいるが、彼らは中流階級出身である。
彼ら二人が起こした事件は枚挙に暇がない。ツアー中にドラッグを使用し、暴力沙汰になることは日常的だった。ホテルに宿泊しても備品をぶっ壊し、ホテルからは宿泊拒否。USの入国審査では「I am ROCK STER」(俺はロックスターだ)と放ち、別室に連れていかれたこともある。レッチリにもレディオヘッドにもエド・シーランにも文句を言いたい放題だった。
そして大抵の人々が「売れたからあんなに高飛車になった」と思っているが、そうではない。彼らは、特にリアムは売れる前からずっと厨二病を患っていたのだ。彼らの話す言葉を日本語訳しようとすると「やぁ、みんな、こんにちは!」ではなく「やぁ、ファッキンくそ野郎」となる。つまり基本的に彼らは社会を舐め切ってるし、はっきり言って人間の「クズ」なのだ。
しかし、彼らの楽曲は一般的にイメージされるような「ROCK」というものではない。攻撃的で反体制的な側面もなければ、スタッズのついたライダースを着るわけでもない。彼らはジーンズにジャージという出で立ちだった。
では一体なぜ、人々は彼らに魅了され「最高のロックバンド」と呼ぶのか─────。
②ロックバンドたるもの
それは、書く曲が「めちゃくちゃいい」という超単純なものだ。彼らの発言を知ってから曲を聴けば「摩訶不思議」な世界に誘われるし、曲を聴いてから彼らのキャラクターを知っていけば「吃驚仰天」な世界に誘われてしまう。
つまり彼らのキャラクターと生み出す音楽には、途轍もないギャップが存在するということだ。こんなに優しいメロディを書く人が、まさかローリングストーンズのキース・リチャーズに「ボケたジジイ」などと、コールドプレイに「お前らのファンはつまんねぇし、ブサイクだ」などと、Mステのタモリに「ジェームズ・ボンドの悪役」などと言うとは思わない。
それなのにオアシスをひとたび聴けば、完全に外の世界と隔離された「オアシス瞑想ワールド」に突入させてくれる。耳心地が良い、或いは耳触りの良い、そんなサウンドがきっちりと提示され、トランス状態に持っていってくれる。
「音」と「キャラクター」の完全なる乖離と、音楽とそれを包括する社会的なものに対するその姿勢こそが、彼らが「ROCK」と呼ばれる所以であり、ROCKそのもの持つ精神性とでも言うのか、そんなものをたくさん持っている。もう二度とこんなロックバンドは生まれないはずだ。
③これだけは聴いてほしい
・オアシスの代表曲と言えばこちら。ほとんどの日本人が知っているであろう、世界最高のバラードの一つ。深い悲しみに打ちひしがれたとき、人間関係に深く悩んだ時、そんな時はこの曲が「絶対的」な味方をしてくれる。
・ノエルが語るところの「あんたを自分自身から救ってくれる話」という内容が詰まった曲。Wonderwallは外の世界にあるのではなく、自分の心の中にあると彼らが教えてくれる。思春期の学生には響くだろう。
・「I’m Free to be whatever I」=俺はなんにだってなれる、という歌いだしから始まるこの曲。突き抜けた、そこはかとない夢をここまで大仰に語られるので、偽善的にならない。音楽的フックもふんだんに使用されている。
・いわゆるBen.E.Kingのスタンドバイミーではない。日本語でポジティブな詞を歌われても響かない人たちに、ぜひ聴いてもらいたいオアシスなりの前向きな歌。
・ギャラガー兄弟の母親に向けられたラブソングであると共に、ニルヴァーナのカートに深く関わりを持つ曲。つまりは「永遠に生きていたい、死にたくない」と歌われる歌。
バッキバキのHR/HMがお好きな方も、レディオヘッドのような陰のアーティストがお好きな方も、是非彼らオアシスを一度聴いてみてほしい。きっと心に残るもの、響くものがあるはず。
Noel Gallagher『俺たちが誰のために音楽を作っていると思う?毎日タバコを2箱買ってるような、人生つまらねぇことだらけの人間のためさ。金だって全然持ってないような奴さ。俺たちのレコードを買えなくても、家の掃除をしている時にラジオをつけて、「こいつはスゴイ、お前も聴いたかよ?」って言ってくれればそれでいい。それが俺たちが音楽を作っていることの意義なんだよ。』
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