全5回に渡りお届けする「ロックの歴史」。今回は第四篇となる「80’s~メタルとガンズの躍進」までをお届けする。
第一篇「50’s~ビートルズ」はこちら。
第二篇「60’s~HRの確立とプログレ」はこちら。
第三篇「70’s~御三家とパンク・ニューウェーブ」はこちら。
①ニュー・ロマンティックの勃興(70年代後半)
②マイケル・ジャクソンの大ヒット
③メタルの大きな躍進
④ガンズ・アンド・ローゼズの衝撃的デビュー
⑤HRの変遷
①ニュー・ロマンティックの勃興(70年代後半)
1970年代後半(UK)
70年代後半になると、セックス・ピストルズをはじめとしたパンクバンドが活躍。しかしパンクムーブメントは短期間のうちに収束したのは、前回でお伝えした通りだ。
そしてピストルズが率いた一連のパンク、派生したニューウェーブが更に変化し、ニュー・ロマンティックと呼ばれる耽美派のパンクが登場する。ヴィサージを起点とし、デュラン・デュランやカルチャー・クラブ、スパンダー・バレエなどが大きく躍進した。
デュラン・デュラン(出典:https://www.theguardian.com/より)
またこの流れは、デビッド・ボウイらが確立したグラムロックなどからも影響を受けており、イギー・ポップや後にファッションデザイナーとして活躍するジョン・ガリアーノも濃い影響を受けたとされる。またセックス・ピストルズの立ち上げに必要不可欠だったヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンも同じくニューロマンティックに大きな影響を与えた。
そしてこのスタイルは、パンクと同様、ファッションにも大きな影響を与え、日本では小室哲哉率いるTM NETWORKのスタイルへと繋がりを見せた。
TM NETWORK(出典:https://middle-edge.jp/より)
②マイケル・ジャクソンの大ヒット
US
一方、アメリカではマイケル・ジャクソンがスリラーで大ヒットを飾る。ポップスとロックの中間のような音楽は、エディー・ヴァン・ヘイレンやポール・マッカートニー、スティーヴ・ルカサーなどを起用したことで生み出されたものだった。
スリラーは全世界で4000万枚以上の売上を記録し、イギリスの勢いを飲み込んでしまうほどになった。またシンディ・ローパーやマドンナなども活躍し、アメリカ・ポップ・ロックの土台が完成されたのもこの頃である。
③メタルの大きな躍進
80年代のロックを書くうえで、どうしても避けては通れないのが一連のヘヴィ・メタル・ブームである。
1970年代後半から80年代初期にかけハードロック御三家のエアロスミスなどは、相次ぐメンバーチェンジなどのトラブルの影響を受けて、下火になっていた。エアロなどの存在にとって代わる存在となっていったのが、ヴァン・ヘイレンである。彼らは1978年にデビューすると、有望な新人として世間に受け入れられていくこととなる。
そして同年にはディープ・パープルを脱退したデイビッド・カバデールがホワイトスネイクを結成。イギリスではジューダス・プリースト、アイアン・メイデンなどが大きく活躍し、既報した通りNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)という一連の流れとなる。
ホワイトスネイク(出典:https://www.yougaku-youga.com/より)
またNWOBHMに則ってデフ・レパードも大きく活躍した。そして1980年にはブラック・サバスを脱退したオジー・オズボーンがクワイエット・ライオットのギタリスト、ランディ・ローズと出会いソロとしてキャリアをスタートした。
1981年
そんな中、1981年にはメタル及びロック史にとって決定的な出来事が起きる。それがモトリー・クルーとスレイヤーのデビューだ。
モトリー・クルー(出典:https://www.loudersound.com/より)
モトリー・クルーはアメリカ・ロサンジェルスを本拠地としており、ロスを中心とした西海岸から多くのバンドが登場することとなる。それがシンデレラやドッケン、ポイズン等である。この一連の出来事はL.Aメタルと呼ばれるブームを生み出す結果となる。
またそのモトリー・クルーから大きな影響を受け、前座を務めた日本のバンドがラウドネスである。
1980年代中盤
この頃になると、スレイヤーを中心にしメタリカ、アンスラックス、メガデスなどのバンドが活躍し、メタルシーンは細分化していく。これまでHR系ギタリストの確立してきた速弾きのソロから、リフに重きを置いたスピード感満載でハード・コアなスラッシュ・メタルが確立。
スレイヤー(出典:https://www.revolvermag.com/より)
特にスレイヤーは後のデス・メタルやブラック・メタルを含めた一連のエクストリーム・メタルの確立にも多大な影響を与えたとされる。
④ガンズ・アンド・ローゼズの衝撃的デビュー
1987年、アペタイト・フォー・ディストラクションで衝撃的なデビューを飾ったのがガンズ・アンド・ローゼズである。このアルバムは発売直後こそ全米ビルボード初登場182位だったものの、一曲目のウェルカム・トゥ・ザ・ジャングルがMTVにて放映されると一気に火が付き、1位を獲得した。全世界では2800万枚以上を売り上げているアルバムである。
ガンズ・アンド・ローゼズ(出典:https://rockinon.com/より)
アペタイト・フォー・ディストラクション(出典:https://www.ebay.com/より)
80年代末期に活躍していたメタリカと比較すると、ガンズはよりハードな見た目でありながら、音は正統派ハードロックに則ったものだった。この頃のHR/HMは「純粋な音楽を聴く」という行為から「踊る」あるいは「飛ぶ」といったアクション性をはらむものへ徐々に変化していった。
当然、メタルではモトリークルーが攻撃的な見た目とサウンドであったが、このガンズは攻撃性をポーズとして行っているわけではなかった。メタリカが文学からの引用を行って、知的なリリックで表現をしていたのに対し、ガンズはドラッグやセックス、生と死、現代社会への痛烈批判を含んでいた。
また88年にはミスター・ビッグが結成され、90年代の初期にかけてヒットを量産していく。
⑤HRの変遷
一方でハードロック系のアーティストはエアロスミスなどの時代からボン・ジョヴィやストーン・ローゼズなどの時代へと突入する。
ボン・ジョヴィ(出典:http://blog.livedoor.jp/より)
またトトをはじめとしたジャーニーやフォリナーといったバンドは、レコード会社の方針に忠実でポップスライクな音楽を量産していた。そのことで産業ロックと揶揄される動きもあったが、販売された曲の多くはレコード会社の戦略どおり、よくヒットした。
特にボン・ジョヴィにおいては産業ロック、あるいはダイナソーロックと揶揄される傾向が強く、次の世代である90年代に出現するニルヴァーナなどのオルタナ勢から批判を浴びることになる。
そして90年代にはニルヴァーナをはじめとしたグランジ・オルタナ勢の活躍、ブラック・キーズやレッド・ホット・チリ・ペッパーズなどが出現。一方イギリスではビートルズの再来と謳われるオアシスがデビュー。またブラーやレディオヘッドなどがUKロックを率いていく。
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次回もよろしくお願いいたします。
ワダアサト
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B’zのレビューだけじゃなくてこっちもおもろいけどね ただB’zファンたちがこういうロックに興味があるかと聞かれれば些か疑問ではある