FASHION

ストリートは斜めである

 

ストリートは斜めである。これは斜陽産業とか、そういったことではない。単純な話で、斜めの文字は全てストリートっぽく見えるということだ。Supremeを思い出してほしい。あのブランドのロゴはやっぱり、どこからどう見ても斜めなのだ。その他にもNIKEやOBEYのロゴが斜めなのだ。

重要なのは「ロゴが斜め」という事実よりも、「斜めの文字はストリートっぽくなる」ということだ。

 

 

①なぜ斜めか

②ストリートの発祥を考える

③なぜ斜めか、の答え

 

 

①なぜ斜めか


Googleの検索欄に「ストリート ロゴ 斜め」「シュプリーム ロゴ なぜ斜め」などと入れてみても、その答えはまったく見えてこない。まるで何かの巨大な宗教や組織かのように、多くのブランドが斜めなのにもかかわらず。

ヴァージル・アブローが立ち上げたブランド、オフホワイトもロゴの文字は真っすぐであるが、背景の模様や象徴的なTシャツは、同じく斜めなのだ。

「全世界ストリートブランド統括本部」みたいなところがあって、そこがまるで「ロゴは斜めが良い」と定めているかのような、それくらいに斜めのロゴが多い。

 

心から不思議に思った私は様々な資料やネットを使用し、調べていく中で、Supremeのロゴに関するものを発見した。「Supremeのロゴの元ネタはバーバラ・クルーガーの作品である」というものだ。そしてこのバーバラ・クルーガーというアーティストとシュプの関係、バーバラの作品の中に答えがあるのではないかと思い、更に調べていくことにした。

 

(引用:fineartkingston.co.uk

上の画像はそのバーバラ・クルーガーというアーティストの作品であるが、実によく似ている。シュプを創設したジェームス・ジェビアがディレクターとの会話の中で模索し、現在のシュプのロゴが誕生したということらしい。

バーバラ・クルーガーの作品には常に「私たち」「あなたたち」などの代名詞が含まれており、社会的な束縛、自己のアイデンティティやセクシュアリティに関わるものが多いという。

しかし、現在のストリートを牽引しているSupremeが「なぜこの作品をオマージュして現在のロゴを製作したのか」というプロセスは理解できたものの、当然「なぜ斜めか」という答えは見つかるはずもない。

そこで、少し発想を変えて、「ストリート」という概念そのものを(ファッションだけではなく、アート分野も含めて)調べて、考えていくことにした。

 

 

 

②ストリートの発祥を考える


ファッションにおけるストリートというカルチャーは1970年代のNYを拠点にしてスタートしたと言われている。その他はカリフォルニアで生まれたスケート・カルチャーなどを取り込んで大きいカルチャーへとなっていった。

70年代後半のNYにおける財政状況は破綻しており、それを社会背景としてヒップ・ホップカルチャーが浸透していった。

ヒップ・ホップには重要とされる4要素があり、それらが「DJ・ブレイクダンス・グラフィティ・ラップ」とのことだ。これらの要素は、NYでの大規模な財政破綻を背景として、街の子供たちに大きな広がりを見せた。

貧困層の子供たちが通う学校はお昼ごろで授業が終了し、暇を持て余した子供たちは上記の要素に惹かれていくようになる。

そしてそれを代弁するように、彼らのファッションもまた大きな変革を見せた。言葉は悪いが、学校で知識と教養を学んでいない子供たちが、言葉ではなく「ファッション」でも自己のアイデンティティを表明していたことがヒップ・ホップカルチャーの始まりだ。

(引用:http://cinefil.tokyo/_ct/16817449より)

彼らの多くはアフリカ系黒人が多く、アメリカという国の奴隷制度や、国内に依然として残り続ける差別的視線の中で、「自分たちは何者なのか」ということを、ファッションや音楽というもので表現してきたと言える。

つまりこのカルチャーは、「アイデンティティを失わざるを得なかった若者たちが、音楽やファッションを武器にして再構築をした」ということが言える。

そしてこの流れは、いずれ「ストリート・カルチャー」として、ヒップ・ホップ以外にも、アートやポップ・アートの要素を取り込みながら現代に至る。

 

 

 

③なぜ斜めか、の答え


①でご紹介したようにバーバラ・クルーガーというアーティスト、そして②で記したように、ヒップホップカルチャーとストリートの社会的背景、それらをミックスさせ、そもそも「ストリート」というものが「社会」という空間や枠組みの中で成長してきた文化であった。

バーバラの作品は、②で申したようにその根底に権力やアイデンティティ、セクシュアリティの文化的構造に呼びかけるものがほとんどで、彼女の作品には常に「わたしたち」「あなたたち」「彼ら」「彼女たち」などの代名詞が含まれている。70年代アメリカの社会的背景、財政状況の中で、この流れを生み出していった若者たちは、まさに「外とは違う」空間を作り上げることに成功した。

そしておごり高ぶっている「他とは違う」という考え方ではなく、自らの境遇と社会の狭間で悩み、アイデンティティを表明する、言わばその手法が「斜め」だったのだ。斜めの自分たちを肯定していたのだ。

そしていつしかその「斜め」は斜めのまま「王道」となり、今日、多くの若い人々がストリートに熱狂している。

 

 

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