FASHION

洋服は気持ちを動かしてくれる最良の道具

 

「洋服は気持ちを動かしてくれるんですよ」などと言われたことがある方はいるだろうか?いずれにせよ、ファッション系の人が「服」に「気持ち」を絡めはじめたら、基本的には「なーに言ってんだ」で終わることが多い。

本来であれば、洋服を着た時の気持ちの高揚具合を「科学的」に検証したかったのだが、残念ながら弊社には〇〇研究機関などに服とモニターと人を持ち込んで、検証するだけの予算がない。脳科学的なアプローチをするほどの余裕もない。

そこで今回は、スタイリスト北村道子から紐解く「着る」という体験、シチュエーションに合わせた様々なブランドを半ば適当な心理学的アプローチでもって紹介していきたい。

 

①服は武器である

②「強い」服

③「クリエイティブな」服

④「勝負の」服

⑤「流されない」服

 

①服は武器である


私の好きなスタイリストに北村道子という人がいる。ある写真家が「私は対象そのものではなく、その背景を撮りたい」と言ったように、彼女のスタイリングにはその人の背景、つまり生き様のようなものが滲み出ている。

北村道子(出典:https://fashionpost.jp/より)

ここで、「またまた~」「んなわけ」と思った方がおられることは承知している。

しかし、そんな北村道子の言葉に「裸で生まれてくる人間は着る服次第で、なんにでもなれる。だから服は武器」といったような内容のものがある。私もその通りだと思う。私は綺麗ごとを言う人は大嫌いだし、簡単で単純な行為に高尚な意味を見出すこともあまり好きではない。なんでもかんでも「深イイ話」のようにするのは、本当に浅はかな行為だとも思う。

しかし、この北村の言葉は事実なのだ。我々のようなファッション業界にいる人間こそが忘れてはならないけど、すぐに忘れてしまいそうになることが、服を着た時の感情、つまり楽しいとか面白いとか、そういう類のことだ。

人は皮膚の上に、たった一枚の布を重ねて生活している。それが金属でできていて、硬いわけでもない。確かに寒さはしのげるけれど、本当に寒さをしのぐのならば、皆同じ布をローマ時代のように巻けばいい。しかし、ファッションはそうではない。やっぱり、どこかに服を装う楽しさや面白さ、そのことが気持ちに大きな変化を与えている。

 

 

②「強い」服


ファッションが好きな方であれば「強い」という単語を聞くだけで、思い浮かぶブランドがあるはずだ。そう、コムデギャルソン。彼らはよく「強い」という単語を販促に利用する。そんなギャルソンの服は、やはり「強くなれる」のだ。正確に言うと、強くはなれない。強くなったような気がする、というだけである。

2018AW CdG HOMME PLUS MAPS Vol.124

2017AW JUNYA WATANABE VOGUE UK

2015SS CdG GIRL

ギャルソンの服は、世の中と正面で対峙できるような気分になる。「あ、なんだかイケる気がする」というイメージを持つことが出来る。私の感覚では、田舎よりも人が多い都会でこそ輝く服である。スタイリストの裕真朋樹も「強い悩みがある人は、ギャルソンを着てみるといいんじゃない」と言っていたが、確かにオススメの手法だ。

 

また最近めきめきと力をつけてきた日本のブランドKIDILLも、パンクのイメージを前面に押し出し「強い」印象がある。パンク。それは自身の内側の精神を安定させる一つの薬でもある。あのクソ上司にたてつくには最高の洋服。え?この恰好で出勤できない?インナーに着るか、通勤時に着ればいい。

KIDILL official Instagramより

 

 

③「クリエイティブな」服


クリエイティブ=創造性のある人が着ていそうなのは、Sacaiとラルフローレン。Sacaiはクリエイティブよりの洋服を、長きに渡り発信し続けているブランドで、ギャルソン、ヨウジの後に続くブランドと言っても差し支えないだろう。特にレイヤードの美しさは世界最高峰レベルで、異素材同士のハイブリッドなスタイルがお得意。

sacai official Instagramより

 

ラルフローレンはブルックス・ブラザーズと並びアメリカを代表するトラディショナルなブランドであるが、まさに正統派なクリエイティブといった印象。確かにライセンス販売のおかげ(せい)で、日本国内においてはブランドイメージはそんなに高くないが、きちんとしたスタイリングにはラルフの服がよく似合う。バキッとPC仕事なんかをしたい時には是非。

Ralph Laurent Official Instagramより

 

 

④「勝負の」服


UNIQLO。一昔前なら、なんだか着るのが憚れるイメージがあったが、今はもう万能。人と会うのも、会議に出席するのも、公園に行くのも、コンビニに行くのも、フェスに行くのもUNIQLOがあれば生きていける。勝負の日にUNIQLOを着ていたって、なんの問題もない。駅までの通勤時に多くの人がヒートテックを着ているのを想像すると面白い。

UNIQLO Official Instagramより

今やUNIQLOは、わけの分からない自己満足ブランドよりも遥かに素晴らしい。その質も、イメージも、だ。「UNIQLOは僕の趣向ではない」なんて言っている藤原ヒ〇シこそ、おぎやはぎの矢作に似たそのスタイルを変えたほうがいい。

 

 

⑤「流されない」服


「流されない」というイメージを最も強く感じるのは、やはりYohji Yamamoto。近年のコレクションはもう飽きた感が漂うが、リアルクローズを着ている人は本当に格好がいい。言ってしまえばトレンドとは関係のない所にあり続けている孤高の洋服。

Yohji Yamamoto Official Instagramより

チャラついていなくて、芯があるイメージがある。特にメンズもののジャケットの類は、一般的なスーツを着るよりもシャキッとする。背筋が伸びる。そして「良い服着ているわ、私 / 俺」と思う。これは②「強い」服にも共通する感覚である。

 

 

こうやって文章を書いてきても、ファッションはやはり人の生活と密着してきた、重要な製品であることを再認識した。その時代によって「良い」とされているものは違えど、「装う」ということは、その人の気持ちを高めてくれたり、何かを冗長させてくれたりする。服は、ものすごいパワーを持っている。


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