Rock

OMOTE TO URAが選ぶ名盤④「朝顔」レミオロメン

 

「OMOTE TO URAが選ぶ名盤」シリーズの第四篇はレミオロメンの「朝顔」。

第一篇は「ROCKS」Aerosmith

第二篇は「マグマ」稲葉浩志

第三篇は「Physical Graffiti」Led Zeppelin

 

 

①「朝顔」とは

②レミオロメンしか鳴らせないサウンド

③「誰かと共有する必要のない」ロック

 

 

①「朝顔」とは


「朝顔」はレミオロメンの記念すべき第一作目のアルバムである。

発売されたのは2003年のことで、レミオロメンがメインマーケットでの成功を勝ち取る前のアルバムということになる。

朝顔 レミオロメン

このアルバムにおける一つの大きな特徴は、②で詳細を書くように、このバンドにしか鳴らせないサウンドが表現されているということだ。彼らが「粉雪」や「3月9日」という、言わば”国民的ヒットソング”を量産していくのは、もう少し後のことで、その頃のサウンドは決してレミオロメンの「裸のサウンド」だとは考えていない。

つまり彼らの内部に蓄積した記憶や純粋な衝動をそのまま書き尽くしたのは、今作「朝顔」だけであると言い換えられる。

というのも、この「朝顔」で綴られる小さな歌は、彼らの実直さや素直さ、あるいは正直さのようなものがアルバム全体に通底しているからだ。これはこの「朝顔」というアルバムと、彼らが国民的ヒットメーカーとして音楽制作をしていくことになる2nd、3rdアルバムとその制作プロセスが大きく違うからだと考えている。

図に示すと下図のようになる。

 

 

 

②レミオロメンしか鳴らせないサウンド


ファーストアルバムであるこの「朝顔」はアルバムとしてみた場合も、全体に一つの流れがあり、細いけれど簡単に折れないような「芯」のようなものを感じる。

M4「ビールとプリン」、M9「電話」という極めて存在感の大きな歌を配置しつつも、サウンドの傾向としてはファンク要素やブラックミュージックを感じ取れる。更にはこれらの楽曲にはファッション的に消費される前の「エモさ」のようなものが内包されている。またM10「タクシードライバー」の技巧派ファンク、黒っぽいサウンドは流石の妖艶さをはらみ、これこそが彼らレミオロメンだけが創造できる音の世界なのだと思い知らされる。

井上陽水的歌謡ロックの要素に加え、ゆらゆら帝国に端を発するサイケデリックの感覚さえも含み、ただひたすらにそして純粋に音楽を愛し続ける成年の姿をそこには見出すことができる。

花鳥風月 レミオロメン

事実上レミオロメン最後のアルバムとなった「花鳥風月」や、小林武士がプロデュースに入る所謂「全盛期」の頃の楽曲群は確かに単体で聴くと素晴らしいことこの上ない。しかしアルバムとしては、あまりにバラつきがあったり、小さな違和感を感じてしまう。

つまりこの「朝顔」以降のレミオロメンは①にも書いたように、

・売れているバンドとしての役割

・ロックというよりポップスの旗手としての役割

を担わなければならなかったと言える。

一方で「朝顔」というアルバムは、レミオロメンというバンドだけが納得している音楽を追求し、スケールを広げる必要のない世界での音作りがメインとなった印象がある。そしてそれは結果として、素晴らしいアルバムを制作することになった。このアルバムは抑揚も無ければ盛り上がるポイントにも恵まれているとは言い難い。しかし決してネガティブやダウナーにならない世界を見せてくれる。つまりは、『「小さな世界、自分だけの世界さえあれば幸せを享受できる」という幸せ』に満ちている。

 

 

 

③「誰かと共有する必要のない」ロック


そして今作をじっくり聴いていくうちに、私の中である一つの結論が芽生えた。それが上記言葉の通り「友達や他人と共有する必要のないロック」ということだ。言い方を換えれば「友達や他人に共感してもらう必要のないロック」とも表現できる。

10’s~20’sにかけて生まれてきたロキノン系やいわゆる「邦ロック」バンドには、まったく表現できない(表現の必要性すらない)スケールの小さな世界や日常を、鮮やかに瑞々しく切り取り、そこには完全に「私」あるいは「僕」しか存在していない。他人が介在する必要がないということだろう。

自分の世界を構築すること。そのことだけが尊いのだと知らせてくれるアルバムは、なかなか存在しない。

 

世間ではレミオロメンを再びエンターテイメントの世界に引き戻す動きもあるし、それを求めるオーディエンスもいるだろう。かく言う私もその一人だった。しかしこのアルバムを聴いて、彼らのそんな決断も鮮やかで瑞々しい日常の延長だったのかもしれないと思うようになった。伝説にはならないロックバンド。私だけが知っているレミオロメンの世界。そんな瞬間を楽しみ続けるのも悪くないだろう。

 

とにかく素晴らしいアルバム。是非聴いてみてほしい。

 


この度はコンテンツをご覧いただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします。

ワダアサト
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